いろんな自分を投影するのだ!『バーナード嬢曰く。』

とりあえず例のお祭りも終わったかな?やれやれ。というあたりで、この作品。
この表紙、このコマ、読むしかない!

施川ユウキ/一迅社
『バーナード嬢曰く。』

読書通ぶりたい女子高生と、彼女を取り巻く読書好きたちの放課後。登場人物は4人のみ。
去年あたりアニメ化していたようです。

大人になってもこんな風に漫画ばっかり読んでいるので、読書家って本当に憧れる。
小学校の頃は読書が大好きだったけど、中学に入って以降全然読まなくなってしまったのです。その理由というか原因はいまだに謎なんですけど、とにかくあまりの読書のしなさに焦って高3の時に慌てて本屋さんで面白そうな本は…と手に取ったのが(それが偶然というのもある意味本当に辛いんですが)村上春樹の『風の歌を聴け』で、選んだ動機もタイトルがかっこいいな~くらいなもので。そこから村上春樹を一通り読んで、春樹翻訳の海外文学もちょっと読んで、でも一番好きなのはエッセイで、遠藤周作も『沈黙』は知らないのに『それ行け狐狸庵』は何度も読んでる、みたいな、とにかく自分の本の読まなさには常々コンプレックスを感じておりまして。

…とこんな風に一方的に語る女の子も出てきます。
もっとも彼女はこんな陳腐な自分語りではなく、好き故の作品への膨大な知識と愛が何万字にもなって溢れちゃうタイプ。

とにかく名作も話題作も全然読まない私からしたら、本を読むのが好き、読書は癒し、みたいな人には本当に憧れる。
でも読むのはめんどくさい。
もう、これこそまさにこの作品の主人公そのものなんですよ。つまり彼女は私なんですよ!違いますけど。
というより、結局この主人公もなんやかんや周りに勧められたものはそれなりに読んでいるので、そういう意味では完全に私は彼女に負けているんですよね。
憂鬱!

読書家ぶりたいけど読むのはめんどくさい主人公も、皮肉を言いながら観察し続ける彼も、語りだすと止まらないザ・ツンデレな彼女も、彼らを少し遠くから見守りながら時に一番暴走する彼女も、どこか自分の恥ずかしい自分が投影されているような気がしてならない。
でも彼女たちのことを嫌いになれない。むしろ愛おしく思える。
自己評価がどうしても低くなりがちな内省的なオタク気質を持つ人間にとって、こんな風に恥ずかしいけれど可愛らしく思えるのは意外と稀なんじゃないかなあ、と感慨深くなってしまう。

とまあ、こんな風にこじらせて勝手に投影して悶えながらニヤニヤ読み進めていますが、こんな妙な性格構造をしていない真っ当な大人の方々にもオススメできる作品です。作中で取り上げられる文学作品等はきちんと解説が入って読みたい欲を刺激するので、気付けばそのジャンルの小説にどっぷりハマっていてもおかしくはないかも。
こんなまとまりのないどうしようもない文章は放り出して、とりあえず1話を読んでみてはいかがでしょう


高校の図書館なんか一度も行かなかったくらいだな。どこにあったかも覚えていないかもしれない。お恥ずかしい。

やまなか(仮)
貯蓄もないのに漫画をジャケ買いしては一喜一憂しているどうしようもない人間。
狭く浅く生きています。