成仏したい『HOTEL R.I.P.』

何かをひたすら信じたりすることはあまりないのですが、死んだら生まれ変わるとか、死後の世界があるとか、そういうことはちょっと興味がある。
興味がある、というと語弊がありますが、あったらいいな。どんな感じなのかな。という、怖さを軽減したいがためのライトな感覚ですが。
信仰は今救われたいか死後報われたいかで変わってくるのかな、と思いますが、自分は後者なのかも。

西倉新久/秋田書店
『HOTEL R.I.P.』

ある日いきなり死を迎えた人を受け入れ、魂をクールダウンする施設、HOTEL R.I.P.(ホテル レストインピース)。
突然死後の世界に行くには心残りがある人は、ここで心残りを解消することで“次のステージ”に進めるらしい。

各話ごとに死者、つまりこの世界での宿泊客が変わり、彼らが主人公となり話が進みます。
基本的にすべて相部屋(しかも相手はホテル側が選ぶ)で、彼らはその相手と自分の人生・死を共有せざるを得ない中で、自分の心残りは何かを探していきます。
オリンピックに出場予定の選手も、ひきこもりも、売れかけのアイドルも、5歳の男の子も、皆自分では想像しない死を迎え、ここに来て、最終的に次のステージとやらに進むわけです。
個々の人生のお話としては画期的に新しいわけではないし、衝撃の展開が待ち受けているわけではないけれど、これが面白い。
普通にいい話…で終わらせるのは乱暴ですけど、じんわりくるんだから仕方ない!

自分は、いつ死んでもおかしくないと挙動不審なほどあれこれ詰め込んで生きているきらいがあり、それでも急に死ぬのは嫌だ!怖いし!後悔まるけだし!と過剰に焦ったりすることも多いのですが、もし死後にこんなところがあったらいいな、と願ってやみません。
以前紹介した死役所も興味があるし、このホテルも行ってみたい。
一番いいのは、このホテルに滞在し、心残りを解消した後に死役所で色々手続きをすることなのではないでしょうか。うーん最高。
信心深くないけれど、こういう漫画があることで、ちょっとは死への恐怖が薄れたとしたら、それって立派な信仰な気がしないでもない。

先日1巻が発売されました。
今のところ全て温かい結末ばかりなので、安心して読んでもらえます。
自分は後味悪い話が5話に1回くらい混ざってても面白そう、、、と思ってしまいましたが、それだとこのホテルのコンセプトにそぐわないからなあ。
2巻以降も楽しみです。是非。


極楽といえば蓮の池ですが、何故か自分は天気に恵まれません。

やまなか(仮)
貯蓄もないのに漫画をジャケ買いしては一喜一憂しているどうしようもない人間。
狭く浅く生きています。