リアリティとはこのことか『ストレンジ・ファニー・ラブ』

最近は面白い漫画が多くて困りますね。
て毎週唸ってる気がしますけど、本当に傑作が毎週見つかるもんだから、自分が薄っぺらいのではないかと疑ったりもするけど、でもねえ面白いものは面白いんだからしょうがない!
とにかく読んでいただきたいこちら。

チョーヒカル/祥伝社
『ストレンジ・ファニー・ラブ』

自分の中で面白さって大きく2つあって
『とにかくこんな文章読んでないでさっさと読んでもらいたいもの』
『読んでもらうことが大前提としてそのあと色々誰かと話したくなるもの』
ここから細分化していくわけですが、ざっと分けるとこの2つ。
前者だとすごく書きづらい。それはもう衝動としか言えない面白さがうわっと詰まっていて、どこがいいとかロジカルに言うよりも前にこの作品を手に取って全体を味わってもらうのが一番だからなんです。
この作品はまさに前者なんですよね。だから今すぐ本屋さんに走っていただきたいです。待てない貴方はここで試し読みでもいいから!サアサア!(でもそのあと買ってください是非)

8つの短編がぎゅっと詰まっております。どれも恋のお話。
帯などでは“ほんの少しだけ現実とずれた世界での”と書かれてますが、そんなの関係ないですね。世界のズレこそあれど、まさしく恋!これこそが恋!うわあ!
何を一人で暴走してるんだと思うでしょう。でもしょうがない。この作品読んだらみんなそうなりますから。1話読むごとに『うわあ!』って思いますから。恋って素晴らしいものじゃないか。こういう話をもっとください。

もちろん漫画としてもとっても面白いんですけど、心情の描かれ方が素敵すぎて、ちょっとした詩集みたいです。
でも、あの、『ししゅう、って、すてき、だ。』みたいな、そういう感じはゼロ!(詩集に対しての悪意があれですけどすいませんこれこそが偏見なんですけどすいません)
普遍的な素晴らしさをエグみや奇抜さなども用いずにサクっとてらいもなく描けるって結構すごいことだと思うんですよね。自分が小さいころからずっとある、そしてこれからも売れ続ける絵本とかに近いかもしれない。
これは作者の方が漫画家としてではなく普段アーティストとして活動されているからなんでしょうか。あんまり関係ないかしら。どっちにしてもこれくらいリアルに、かつナチュラルに心情を表現してくれているとしたら、他の芸術活動も絶対的に信頼できる気がしてきます。

色々一人暴走して騒いでますけど、ひとまずこのコピー『恋はみっともなくてくだらなくて、最高だ。』に全てが詰まっているので、よろしくお願いします。


さわやかな心情を汲み取れる写真が少なすぎる…

やまなか(仮)
貯蓄もないのに漫画をジャケ買いしては一喜一憂しているどうしようもない人間。
狭く浅く生きています。