王道は最高『とんがり帽子のアトリエ』

漫画にしても映画にしても、好きがゆえにそのジャンルの奥が深さだけはなんとなくわかるというか、ニワカが踏み入れるべきじゃないのかなあと敬遠しがちなジャンルってそれぞれお持ちだと思うんですけど、私にとってはその一つが『ファンタジー』です。
もちろんファンタジーと言っても様々な枝葉があって大きくくくるには果てしないジャンルだと思うんですけど。むしろそれ故に迂闊に語れない。
複雑なオタク心…。

でもそんな中でも面白い作品は素直に面白いと思っちゃうんだから、しょうがないですよね。

白浜鴎/講談社
『とんがり帽子のアトリエ』

この作品を読んで思うことは、『(なんかよくわかんないけどわかんないなりに)王道だな~!』ということ。
その王道の濃密さがすごい。

まずストーリー。
かなり綿密に裏打ちされている気配がします。最初、原作小説や映画の脚本がすでにあるんじゃないかとすら思いました。
まだ1巻ですよ。なのにこの完成度、の気配。この気配こそが楽しい!絶対面白いじゃん、と思うほかないんです。
しかも、ハイここ伏線ですよ~伏線張り巡らせてますヨ~みたいな嫌な匂わせがなくて、そこも最高です。
もちろん最初の数ページですでに謎だらけですよ!でも本来の謎がもつ魅力で突き進む。引き込まれるエッセンスとして謎がポンポン出てくるけど、あとでジャーン!どうすか!いいっしょ!?っていう感じではない。多分。いまのところ。
(ジャーンどうすかの声がでかいほど冷めるのは何なんですかね…あの作品とかあの作品とかで鍛えられてるはずなんですけど)

そして絵柄。
時代を問わず愛されるであろう緻密な絵と、オーソドックスでカッチリしたコマ割りの中に時々ポン!と出てくるオシャレな構図。そのバランスの良さよ!
全然違うと批判を覚悟で言うと、なんかどことなくあのナウシカ(漫画版)に近い匂いがするといいますか…どこがとズバリ指摘できないんですが。
ナウシカはあの宮崎駿大先生のリビドーっぽい勢いがあるけど、こちらはもっと整った整流。でも纏っている空気が似ている感じ。
あっやめて!石は投げないで!ナウシカは大傑作ですしこちらもかなり面白いので!!

あと、少数精鋭の学園モノとしても王道であり、主人公の成長譚としてもかなり王道な気がする。
あとあと、主人公がその世界ではかなり異端だけど才能があるっぽい、というのもまたいい王道!
どうですか。もう読むしかないですよね。

最近は色んな媒体で色んな作品が書籍化されて、それはもちろんとても嬉しく楽しいことなんですが、そんな中にこんなザ・王道の最高な詰め合わせがあっていいんでしょうか。よすぎる。最高です。
冒頭の言い訳をかまして発売直後は見送ってたんですが、どうしても気になって1週間後に買ったらすでに2版でした…つまり爆売れ中!すばらしい。
先日1巻が発売されたばかりですし、この機会に是非!


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やまなか(仮)
貯蓄もないのに漫画をジャケ買いしては一喜一憂しているどうしようもない人間。
狭く浅く生きています。