藤野涼子 前編『匂わせることなく普段通りに』

初めて台本を読んだ感想はいかがでしたか。

私以外が大人で、かつ大先輩の方々だったので、私でいいのかな?と。
自分にこの役が務まるのかな?と不安な気持ちもありました。

西野澪を演じてみた感想を教えてください。

澪は、色んな衝撃的な出来事も内に秘めて表情には出さないので、基本的には声や口調で表現するんですね。
何かがあることを匂わせず、普段通り?に振舞わなきゃいけないのが難しかったです。

現場での印象に残っているエピソードはありますか?

食事をするシーンです。澪は集中して食べるんだろうなと思って食べたんです。
カットがかかってその次のカットを撮るとき『何から食べた?』と聞かれて全然思い出せなくて…。でも、香川(照之)さんは全部覚えてらっしゃったんです!
演じることと、客観的に見ることを同時にするのは大変なんだと実感しました。

藤野涼子 後編『俳優同士の間で起こること』

これまでに一番印象的だった言葉はありますか?

今回香川さんから頂いたアドバイスで、「相手が弱そうだからとか、痛そうだからと手を抜いてはいけない」ということですね。
『観客は俳優と俳優の間で起こったものを見たいから、全てを全力でやらなきゃいけない』と。
その言葉を聞いて、私も全力で相手にぶつかっていこうと思いました。

女優をされているという実感は、どういうときに感じますか?

元々TVに出てみたいという気持ちは幼稚園の頃からありました。今の事務所に入ったのは、小学校の頃です。
普段の生活で自分以外の感情や人生を考えたり分析したりすることはあまりないから、『私は女優だから、今この作業をしてるんだな』と実感します。

■藤野 涼子 プロフィール
2000年2月2日神奈川県生まれの16才。趣味・特技/テニス、ヒップホップダンス
映画『ソロモンの偽証 前編・後編』でデビュー。同映画の半年間にわたるオーディションで、1万人の中から主人公の「藤野涼子」に選ばれ、役名をそのまま芸名とする。
現在高校2年生で当面は学業に専念する予定だが、映画『クリーピー 偽りの隣人』に出演する機会に恵まれ、今度は大人ばかりの現場に体当たりで挑んだ。

■映画『クリーピー 偽りの隣人』http://creepy.asmik-ace.co.jp/
犯罪心理学者の高倉は、刑事・野上から6年前に起きた一家失踪事件の分析を頼まれる。しかし事件唯一の生き残りである長女・早紀の記憶をたどるも、核心にはたどりつけずにいた。
一方、高倉が愛する妻・康子と共に最近引っ越した新居の隣人は、どこか奇妙な家族だった。病弱な妻と中学生の娘・澪をもつ主人・西野との何気ない会話に翻弄され、困惑する高倉夫妻。
そしてある日、澪が告げた言葉に、高倉は驚愕する。「あの人、お父さんじゃありません。全然知らない人です。」
未解決の一家失踪事件と、隣人一家の不可解な関係。2つの繋がりに高倉が気付いた時、康子の身に【深い闇】が迫っていた…。6月18日(土) 全国ロードショー。
出演:西島秀俊 竹内結子 川口春奈 東出昌大 香川照之 藤野涼子 
監督:黒沢清
配給:松竹、アスミック・エース

撮影:大村祐里子