『後から溢れ出るもの』
映画『サラバ静寂』の台本を初めて読んだ感想を教えてください。
正直、この世界はきちんと成立するのかな?と思いました。ハリウッド並みの予算がないと難しいんじゃないか?って…。
でも実際はそんなことはなく、きちんと成立しましたね。現場はバタバタでしたけど(笑)。
スタッフさんも個性の強い方々ばかりだったので、僕も俳優部として、色々コミュニケーションを取りながら挑みました。
この役を演じてみた手応えはいかがですか。
基本的に粘る撮影だったので、役者としては大変でした。
台詞を言ったらはいOK、ではなく、その後も続いていく。台詞の後から溢れ出るものを大事にした撮影でした。
娯楽がない世界は難しかったのではないでしょうか?
想像つかないですよね…。娯楽がないだけで、暗いし、寒い。何を考えたらいいのかわからない。
僕自身、表現がないと趣味や日常が何もない人間なので、ああいう世界では絶対生きていけないです。
『枕詞が要らない存在に』
吉村さんが最近初めて触れて感動したものを教えてください。
これは本当に偶然ですが、音楽ですね!
友人の家で打ち込みをさせてもらったんですけど、夢中になりました。
ドラムの音だけで200個あるんですよ。メロディのこととか何もわからないけど、楽しくて夢中でずっと触ってました。
吉村さんの独特の存在感の秘密はなんですか?
いい意味で『憧れ』がないからかもしれないです。かっこいいなとか、暮らしや住んでる家には憧れますけど、自分が真似したいとは思わないんですよね。
自分は自分でしかないと思っているので、誰かみたいになりたいという気持ちがないです。だからですかね…?。
今後どういう存在になっていきたいですか?
ジャンルレスでありたいし、やっぱり一番がいいですね。
作ったものや表現したものと僕自身が一緒に評価される中で、枕詞がいらないような存在になりたい。俳優とか表現者とか、そう言ったものもなくして、吉村界人だけで通用するようになりたいです。
■吉村界人
1993年2月2日東京生まれ。『ポルトレ -PORTRAIT-』(14)で映画主演デビュー。 以降、多数の映画、ドラマ、CMに出演。主な作品に、映画『百円の恋』(15)、『ディストラクション・ベイビーズ』(16)『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』(16)、主演作『太陽を掴め』等。2017年には映画『獣道』『劇場版 お前はまだグンマを知らない』『関ヶ原』『ビジランテ』、ドラマ『わにとかげぎす』(TBS)
『僕たちがやりました』(KTV・CX)「マチ工場のオンナ」(NHK)等に出演し、今後主演作『悪魔』(18年2月24日公開)他多数の話題作の公開が控え、次世代の日本映画界を背負って立つと期待される若手俳優。
■映画『サラバ静寂』http://www.saraba-seijaku.com/
音楽などの娯楽が禁止された世界。
若者たちは音楽を知らずに育つが、ミズトとトキオという若者はある日、ひょんなことから音楽を聴いてしまい、衝撃を受ける。
更に現在も闇ライブが行われていることを知り、そこに行くことを夢見る…。
1月27日(土)ユーロスペース渋谷[東京]ほか全国公開
【出演】吉村界人 SUMIRE 若葉竜也 森本のぶ / 斎藤工
【脚本・監督】宇賀那健一
パイソン柄ジャケット:PIN NAP/スラックス:KIKUNOBU 東京/ベルト:qosmos
撮影:Haruchika Keira