『役を愛そうと決めた』

映画『リバーズ・エッジ』で観音崎を演じることが決まった時の心境を教えてください。

一言で言えば、「最高!」と思いました。「オッシャ!最高!」みたいな(笑)。
出演が決まる前に原作を読んで、この作品が大好きになったし、自分が関われたらめちゃくちゃ楽しいだろうなと思っていたので、出演が決まった時は本当に嬉しかったです。

演じる上で大切にしたことはありますか。

観音崎を好きになろうと思いました。ひたすら役を好きになろうと。そうじゃないと彼がかわいそうだから、僕が誰よりも愛そうと決めました。
撮影中は一度もモニターで自分の演技を確認しなかったんです。監督やスタッフさん、共演者の皆さんを完全に信頼していたので。
完成した作品を見た時も、客観的に見れました。髪型が違うというのも大きいですが(笑)、観音崎が自分だ!という意識じゃなく、作品として普通に楽しめました。
見終わってから「あの場にいたのは確かに俺だったんだ」と実感しました。

90年代独特の流行に触れてみた感想を教えてください。

実は、ファッションや音楽も、元々90年代のものが好きなんです!なので違和感は全くなかったです。
物心つく前から90年代の空気に浸かっていたし、母親や周囲からの影響が体の細胞に流れてるのかもしれません。だから、僕にとってはとても自然なことでした。
観音崎のあの髪型もカッコいいですよね!実はあれ、ウィッグなんですけど、僕が欲しいですもん(笑)。昔めちゃくちゃ憧れてた人たちの髪型ができて嬉しかったです。

『戸惑いが面白さに』

ここまで軽薄な役はかえって難しかったのではないですか?

そうですね。全体的に観音崎自体の掘り下げがそこまでないので、ある意味難しかったです。
監督が彼のあるシーンを足してくださったので、それが本当にありがたかったです。シーンとしてはほんの一瞬ですが、そこに彼の全てが詰まってる気がします。

インタビューのシーンまで徹底されてましたね。

面白いですよね!あんな撮影方法初めてだったので、戸惑いました。
観音崎としているけど、どこかで上杉柊平が顔を出しかけて、でもそうじゃなくて…途中で、なんだかよく分からなくなったんです。その結果出たものが逆に面白いものになりました。
自分だけじゃなく、みんなのインタビューも面白いんですよね。みんなが戸惑いながら、でも楽しかった、そんなシーンです。

改めて映画『リバーズ・エッジ』の見どころを教えてください。

原作そのもののパワー、そしてそこに対する監督をはじめスタッフさんたちのエネルギーが丸々詰め込まれてて、そこに僕達役者が掴まって更に増幅した作品です。
90年代に生まれた僕達が、90年代のあの空気が詰まった作品を、2018年の今演じる。その意味が絶対にある、力のある作品です。

今後挑戦してみたい役を教えてください。

ど真ん中の少女漫画系も挑戦したいです!ザ・王子様、みたいな。キラキラしてみたい。やっぱり男の夢ですから。
今作『リバーズ・エッジ』みたいにザラついた作品もたくさんやりたいです。ジャンルを問わず、誰かに影響を与えられるようなものを全力で演じたいですね。

※次回は2月26日更新予定です。

■上杉柊平
1992年生まれ、東京都出身。15年「ホテルコンシェルジュ」(TBS)でTVドラマデビュー。TVドラマ「砂の塔〜知りすぎた隣人〜」(16/TBS)や沖縄国際映画祭でも上映された映画『A.I. love you』(16)や、『シマウマ』(16)『一週間フレンズ。』(17)などに出演し、活躍の幅を広げる。10月スタートの「ドクターX〜大門未知子〜」(テレビ朝日)やNHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」、にも出演するなど、今後が注目される若手俳優の一人。


■映画『リバーズ・エッジ』 http://movie-riversedge.jp
「若草さん、今晩ヒマ? 僕の秘密の宝物、教えてあげる」。
若草ハルナ(二階堂ふみ)は、彼氏の観音崎(上杉柊平)がいじめる山田(吉沢亮)を助けたことをきっかけに、夜の河原へ誘われ、放置された<死体>を目にする。
閉ざされた学校の淀んだ日常の中で、それぞれが爆発寸前の何かを膨らませていた。そんなある日、ハルナは新しい死体を見つけたと報せを山田から受ける・・・。
2月16日(金)より、TOHOシネマズ新宿ほか全国ロードショー
出演:二階堂ふみ 吉沢亮  上杉柊平 SUMIRE 土居志央梨  森川葵
監督:行定勲  脚本:瀬戸山 美咲  原作:岡崎京子「リバーズ・エッジ」(宝島社)
主題歌:『アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)』 小沢健二(ユニバーサル ミュージック)/作詞・作曲:小沢健二
© 2018「リバーズ・エッジ」製作委員会/岡崎京子・宝島社

撮影:大村祐里子