誰かに言いたい、でも誰にも言いたくない「草原の実験」

あらすじ:草原にたたずむ小さな家に住む父と娘。貧しくも穏やかな暮らしとささやかな恋。そして忍び寄る黒い影…。
http://sogennojikken.com/

☆☆☆☆☆(星5つ)

この映画、実は劇場で公開される前にWOWOWで一度だけ放送された時に、東京国際映画祭で賞を獲ったロシア映画ということ以外は何も知らず、ただ何気なく観ていた。

確かに映像は怖いくらいに美しい。その代わり台詞は一切ない。場所や時代の説明もない。とりたててドラマチックな出来事が発生するわけでもないように思える。
いけない、眠い。

雄大な自然、少年少女の牧歌的なキャッキャウフフ、意味もなく辺りを走り回る馬etc… なにしろ催眠効果抜群の映像なのだ。
気づけばちょっと長めに目を瞑っていたような気がする。
大丈夫、寝てないです。目を閉じてただけです。
目を開けても映画はまだ続いていた。
そしてそろそろ終わりかなという時間になって…

と、ここまで書いて急に嫌気がさしてきた。ボクは一体何をしているんだ。
自分は幸運にも何も知らずにこの映画を観て、ご多分に漏れず衝撃を受け、世界にはまだまだ自分の知らない映画的宇宙が広がってるんだなと改めて感嘆したというのに、このコラムを読んでくれる全国1000万(独自調べ)の読者からその楽しみを奪っていいのかと。

やめだ、やめだ。余計なことを言うのはやめよう。

これは決して難しい映画じゃない。内容はむしろド直球。だからこそ、どのような邪推も吹き飛ばす、文字通りの美しい”破壊力”がこの映画にはある。
それで充分じゃないか。

願わくばこれを読んでくれた方がそんなことをすっかり忘れて立ち寄った映画館でこの映画に出会えますように。
大丈夫、疲れてたら途中でちょっとくらい寝たっていいんです。

※☆の解説、今回はあんまり意味がない気がするのでいきなりお休みです。
星の数だけでは計れない映画の魅力ってあるんですよね…。
(だいたい毎回☆の基準を変えるって企画に無理があったんだ、クソ!大してウケてなかったし!)

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遊牧民的な風景を眺めてたら無性に羊が食べたくなったので食べました。おいしかったです。

おだかやすゆき
昼は会社員/夜も会社員/座右の銘は「狼は生きろ、豚も生きろ」
つらい仕事の合間に楽しい映画を観て感想を書きます。
好きな映画は「人間はガンガン死ぬけど動物と子どもは絶対に助かる」映画。
https://twitter.com/odkysyk