あらすじ:イスラエルの音楽家シャイ・ベン・ツル、イギリスのロックバンド「Radiohead」のジョニー・グリーンウッド、
そして映画監督のポール・トーマス・アンダーソンが行く、インド音楽珍道中!
※この映画、映画館じゃなくてMUBI.comっていう配信サイトで最近公開されたものなので、下記はそちらのリンクです。
MUBI.com配信ページ
☆☆(星2つ)
ボクはRadioheadが大好きで、その中でもステージで様々な楽器を自在に操るジョニー・グリーンウッド氏を特に信奉しているんだけど、そのジョニーがインドで現地の音楽家たちとレコーディングすると聞いて最初は不安に思った。
「インド?なんで?」と。「それよりバンドのほうは一体どうなってるんです?」と。
映画は今回のレコーディングの舞台となる城塞の広間で音楽家たちが輪になって座っている、静かな場面から始まる。
どうやら黙々とお祈りしているみたいだ。「ほらこれやっぱりよくわかんないやつじゃないか…」と思う。
その次の瞬間、合図の笛の音とともにインド太鼓の強烈なビートが静寂を切り裂く。
熱狂的なホーンセクションが暴れ回る。
男たちの野太い掛け声が響く。
ジョニーとシャイ・ベン・ツルも、えーっと、なんだあれ、なにやってんだ…まぁとにかくちまちまギターを弾いてる。
そこにタイトルバック、ドン!
かかかかーっこいいー!
映画を観る前にあった不安や疑問は冒頭のこの迫力満点の音楽だけで簡単にぶっ飛ばされてしまう。
だけど、この作品の魅力はそれだけでは終わらない。
なにしろインフラの供給が不安定なので、作業の途中で電力が遮断されることもしょっちゅうある。
そんな時、地元の音楽家のおじさんはどうするか。
寝ちゃう。
話しかけても「今はリラックスするのにフルパワーだから」とむにゃむにゃ言うだけで起きる気配がない。
でも仕方ない。これがインドなんだ。
真面目なイギリス人のジョニーは隅っこのほうでギターの練習をしてる。かわいい。かわいそう。
このゆるい空気に感化されたのか、いつもは観る者をぐったりさせるヘヴィー級の映画ばかり撮っているポール・トーマス・アンダーソンも今回はすごく軽快、っていうかそのへんにいる人たちに話を聞いたり、そのへんにいる牛を撮ったり、ドローンを飛ばしてきれいな街並みを撮ったりして、完全にインドを満喫してる。こんな楽しそうなポール見たことない。
作品自体は55分という短さだけど、すっかり身軽になったポールは音楽だけでなく、そこに生きる人々、牛々、街々の空気を、これまでにないフレッシュな目線でパッケージして届けてくれる。
もちろんジョニーたちも素敵だ。
でも今はとにかくインドの音楽家たちのフルパワーに拍手を送りたい。
今回の☆は気づいたらインド指数になってしまった。映画自体はもっと普遍的な魅力にあふれてるので(カレーも出ません)☆2つだけど、音楽は間違いなく五つ星です。
☆…なんでもいいからカレーが食べたくなる
☆☆…インド人が店内からじっと見つめてくるタイプのインドカレー屋でカレーが食べたくなる
☆☆☆…「はっ?実はネパール人?ふざけんな金返せ!」と怒鳴るレベルのインド欲求が巻き起こる
☆☆☆☆…もはや日本人の味覚に合わないくらい本格的なインド料理じゃないと満足できず、料理をおもむろに手で食べ始める危険な状態
☆☆☆☆☆…会社に辞表を提出してインド行きの航空券を購入してしまう、もはや手の施しようがない状態
観終わった後のインドカレー。ライスを頼んだのにナンが出てきたけど、仕方ない、これがインドなんだ。
昼は会社員/夜も会社員/座右の銘は「狼は生きろ、豚も生きろ」
つらい仕事の合間に楽しい映画を観て感想を書きます。
好きな映画は「人間はガンガン死ぬけど動物と子どもは絶対に助かる」映画。
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