あらすじ:オッス、オラ神戸牛。今回の映画は肉の天下一武道会だ!オラ、ワクワクしてきたぞ!
☆☆(星2つ)
いやはや、なにはなくとも勢いのあるこのタイトルがいいですね。「ステーキの歌を聴け」とか「牛をめぐる冒険」「焼きたて牛クロニクル」みたいな気取ったタイトルをつけられるより、こういうのは直球が一番。(上記タイトルに深い意味はありません)
フランス出身の映画監督フランク・リビエラは世界随一の美食大国である母国がなぜかステーキ部門では他国の後塵を拝してることに疑問を覚え、友達のお肉屋さんと一緒に世界中のステーキハウスを巡り、その美味しさの秘密を探しに行く。
というようなコンセプトが一応はあるみたいだけど、世界各国でステーキを食べては悶絶し、食べては悶絶し、を繰り返してる姿を見ると「この人、ただ肉が食べたいだけなんじゃ…」と思わないでもない。
あらすじには「肉の天下一武道会」と書いたけど、美味しいステーキ(ライバル)を求めて世界各国を飛び回る姿はどちらかというと「ストⅡ」に近い。様々な国を訪れるごとに個性豊かな戦士(肉です)が現れてはその国ならではの得意技で監督(および我々観客)を叩きのめす。南米の串焼きステーキ、日本の鉄板焼き、アメリカの熟成肉ステーキ…繰り広げられる肉のストリートファイティング。たまりません。
フランスのステーキがなぜイマイチかということで畜産業界の様子も描かれるんだけど、確かにフランスの牛は牧場を意味もなく走り回ったりして筋トレに励んでいるので見るからに筋肉質で硬そうだった。
その点、日本が誇る神戸牛や近江牛は牛舎の個室でクラシックを聴きながら全身をマッサージされて育ってるのだから「そりゃ柔らかいだろうな」と思う。牛もぬくぬく幸せそう。
そう、世界のステーキを格付けしていくうえで上位に入った国に共通しているのは「とにかく牛を大事にする」ということだった。大変なコストと愛情を込めて一頭一頭育て上げる畜産家たちが異口同音に話す「幸せに育った牛は美味しい」という言葉には重みがある。
ステーキを心から愛する人々が「おらが牛」の素晴らしさを語りまくり、肉を焼きまくる2時間は非常に濃密で痛快なんだけど、空腹状態でこれを観るのは本当に、本当につらかった。
ボクが何かしらの秘密を抱えた状態で尋問されたとして、飲まず食わずでこの映画を観せられたらすぐに全部しゃべると思う。それくらいキツかった。
だから残念ながら星は2つです。我ながら無茶を言ってるとは思うけど、仕方ない。こっちは精神的苦痛で出るとこ出ててもいいんだぞ。
(※実際に高級ステーキ店での上映会もありましたが、予算の関係で断念しました、悔しい)
☆…観終わったら牛丼屋さんに直行
☆☆…観終わった焼肉屋さんに直行
☆☆☆…観終わったらステーキハウスに直行
☆☆☆☆…観終わったら神戸へ直行
☆☆☆☆☆…観終わったら仕事を辞めて牧場に弟子入り
この映画を観た後は会社の行事で山形牛の焼肉を食べた。やっぱり日本の牛が最高だし、これがなかったらステーキハウス強盗で逮捕されていたと思うので関係各位には感謝したい。
昼は会社員/夜も会社員/座右の銘は「狼は生きろ、豚も生きろ」
つらい仕事の合間に楽しい映画を観て感想を書きます。
好きな映画は「人間はガンガン死ぬけど動物と子どもは絶対に助かる」映画。
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