あらすじ:大企業による熱帯雨林の伐採と先住民族の保護を訴えるために現地に乗り込んだ学生たちが、なぜかその先住民たちにやられる!捕まる!食べられる!
☆☆☆☆(星4つ)
「痛い、苦しい、観てられない」の三重苦映画を撮らせたら間違いなしの映画監督イーライ・ロスが6年ぶりに放つ新作は食人ホラー!
その筋の名作映画「食人族」で舞台とされた”グリーン・インフェルノ(緑の地獄)”をタイトルにしてるあたり、気合十分。意気込みが伝わってくる。
ボクは痛いやつとかグロいやつとかが決して得意じゃないので観る前からかなり怯えてたけど、なにしろこの映画には大好きなミュージシャンのSky Ferreiraも出演してるというので仕方なく劇場に赴いた。
いやだなぁ。怖いなぁ。
今回犠牲になるのは裕福な家庭に育ち、ちょこちょこ悪いこと(マリファナとか)もしつつ、「Don’t think,Act!(考えるな、行動しろ!)」をポリシーに様々な抗議活動に没頭する学生たち。「立派な大義のためなら危険を顧みずに熱帯雨林に乗り込む俺たち私たち」をSNSでアピールしたり、場違いな男女のキャッキャウフフがあったり、そのサークル活動のようなノリをイーライ・ロスは持ち前の底意地の悪さで執拗に描く。さっきまで怯えていた観客(ボクです)もいつのまにか「このアホどもがどんなひどい目にあうんだろう、ひひひ…」と血に飢えた目でスクリーンを見つめることに。
このあたりがさすがにうまいですね。
失われつつある食人文化を今に伝える先住民のみなさんが趣向をこらした様々な調理法を披露して食卓を彩れば、捕獲された学生たちもなんとか逃げ出そうと創意工夫あふれる脱出劇で応える。このへんの応酬からにじみ出る脱力系ユーモアが緊張で凝り固まった観客(ボクです)の肩を優しくもみほぐす。おかげで食人族の映画といっても妙なアングラ感はなくて、非常にカラッとした仕上がりに。
ハードコアな作風が好きな人には物足りないかもしれないけど、露悪的なギャグを入れつつもこの手のジャンルの映画に対する愛情とオマージュが満載で、基本的には気のいいあんちゃんなんですよね、イーライってやつは。
雰囲気としてはグルメ映画ということでぎりっぎりデートムービーとしてもいけないことはないかもしれない。帰りには2人でモツ鍋なんか食べたりしてね。いいですね。
クリスマスシーズン、ちょっと変わったデートプランをお探しの方にオススメです。もちろん責任とかは全然もてないんだけど。
☆☆☆☆…様々な食文化の描写を通じて人間の多様性を感じられる優れた映画。
(毎回☆の説明部分が異様な負担になっていることに気づいたので今回からはこういう感じです。今までのやつは見なかったことにしてください)
「食人族って生食のイメージがあるけど、今作は焼いたり蒸したりいろいろ調理に工夫があってよかったなぁ」とかぼんやり考えながらステーキを食べました。
昼は会社員/夜も会社員/座右の銘は「狼は生きろ、豚も生きろ」
つらい仕事の合間に楽しい映画を観て感想を書きます。
好きな映画は「人間はガンガン死ぬけど動物と子どもは絶対に助かる」映画。
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