なめてんのか「スター・ウォーズ」(ネタバレあり・後編)『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』

あらすじ：遠い昔、はるか彼方の銀河系で…。

☆(星1つ)

あけましておめでとうございます。今年も当コラムをよろしくお願いします。
新年になっても「スター・ウォーズ」フィーバーはまだまだ続きます。どうですかみなさん。観に行きましたか。ボクは3回観ました。
前回は「スター・ウォーズ最高」の気持ちが高まりすぎて、プロパガンダじみたコラムになってしまったので、今回はタイトルの通り「フォースの覚醒」の困ったところや呆れちゃうところをバシバシあげつらってフォースにバランスをもたらしたいと思います。

今回もやはりネタバレを含む可能性があるので、これから観る予定の人はすぐに引き返して素敵な写真を眺めたり、他のコラムを読んだりしてください。ていうか一刻も早く映画館に行ってください。なにやってるんですか。

さて、これは前々から疑問だったんだけど、「スター・ウォーズ」のファンで「「スター・ウォーズ」の映画が世界で一番好き！」という人はどれくらいいるんだろう。
ボクはとてもそうは言えそうにない。だって「スター・ウォーズ」の映画ってあんまりおもしろくないもん。

過去の6作どれも雑な部分や歪な部分があるし、前回のコラムで書いたようにやけに無機質でどうにも盛り上がりに欠ける印象がある。
もちろんその不足を自分なりに補足・解釈したり、古文書を参照して架空の歴史を紐解いていくのも「スター・ウォーズ」の大きな魅力だし、その懐の広さが「あの世界はそういった欠陥なしには成立しないんだ、そう、ボクらが住むこの世界と同じようにね」などと語り出す気味の悪いファンを大量に生む要因だと思うんだけど、やっぱり映画としてはね、アレですよね。

そういう「スター・ウォーズ」の映画が持つアレな部分を監督のJ・J・エイブラムスもちゃんと分かってて、「フォースの覚醒」にもわざと微妙なテイストを盛り込んだような節がある。
序盤で死んだと思われたポーがなんの説明もなく普通に再登場したり、主人公のレイちゃんが無敵の才能の持ち主かと思えば敵のカイロ・レンがまだまだ未熟だったりしてバランスが非常に悪かったり、特に説明もなくR2-D2のスリープモードが解除されたり…あげればキリがない。
新三部作で見られた華麗なライトセイバー同士の戦いも、近い力任せのチャンバラに成り下がっていて、(「ジェダイの不在」という物語的に仕方ないこととは言え)見所としてはかなり劣る。
素人でも挙げられるそのような欠点をプロが気づかないはずがないのでこれらは意図的なチョンボだと踏んでるけど、だとしたら制作サイドの「スター・ウォーズ」愛がある意味では悪いように作用したと思われても仕方ない気がする。分かるけど、分かりにくすぎる。
少なくとも、なけなしの2000円を払って観に来たクールな若者に「これっておかしくないですか？」と詰め寄られたらボクには返す言葉がない。ホントそうだよね、君の不満はもっともだと思うよ。わかるわかる…。

でも申し訳ないんだけど、それが「スター・ウォーズ」なんだ。

昔っから反乱軍は特に綿密なプランもなく見切り発車で敵陣に突っ込んでいくし、帝国軍は自慢の巨大兵器に見つかる致命的な弱点をちっとも克服しようとしない。
ジェダイの大半は完全に思考が停止した堅物だし、敵も味方もなにかつらいことがあるとすぐに引きこもったり暴れたりする困ったやつらばっかりだ。
でもそれが「スター・ウォーズ」なんだ。
神話に出てくる神様もなんだか問題のある人たちばっかりだったりしますよね？それと同じです。変で、雑で、歪だけど、そこにボクらの常識を超えた宇宙的リアルをつい見出してしまうんです。

そしてボクはそんなことをもにょもにょと言い訳しながら、最後にこう言ってしまう。
「あの世界はそういった欠陥なしには成立しないんだ、そう、ボクらが住むこの世界と同じようにね」と。

よし、なんかアメリカの小話みたいな感じでまとまったし、このくらいでいいだろう。
結局「フォースの覚醒」は星5つの部分と星1つの部分が交じり合ってなんとなく星3つくらいに落ち着く、いつもの「スター・ウォーズ」だったけど、そのパッとしない感想をあきらめ半分で仲間たちと語り合える素晴らしい時間が戻ってきたことがなによりうれしい。
おかえりなさい「スター・ウォーズ」。

☆…「見所としては劣る」とか書いちゃったけど、今回のライトセイバーの野良チャンバラ感はすごく好きだった。もちろん新三部作の洗練された殺陣も好きだけど。

新年から地味な絵面で申し訳ないけど、「お正月もスターウォーズのことを考えて過ごしていたぞ」という証拠を残しておこう。お餅と共にあらんことを。