ゾンビ小学校にようこそ『ゾンビスクール!』

あらすじ:給食の汚染チキンナゲットを食べてウイルスに感染した小学生ゾンビが先生たちに襲いかかる!

☆☆☆(星3つ)

「ショーン・オブ・ザ・デッド」「ゾンビランド」、そして個人的には「ロンドンゾンビ紀行」と数々の傑作が生まれ、すっかりジャンルとして定着した感があるゾンビコメディ映画に新たに殴り込んできたのは小学生ゾンビ!

思い返せばゾンビ映画において子どものゾンビ化ほど悲惨なことはない。物語的にも重いし、観客としても精神的なダメージが大きい。リメイク版「ドーン・オブ・ザ・デッド」で赤ちゃんがゾンビ化した時の絶望感たるや…。
最近ではドラマ「ウォーキング・デッド」で子どもがゾンビになった時なんか数日間ご飯が喉を通らなかった(※実際とは異なる場合があります)。

しかしそんなゾンビ映画の禁忌をあざ笑うかのように今作では子どもが容赦なくゾンビになる。なりまくる。
かといって今回もまたご飯が喉を通らなくなるのかと言えば、とにかく子どもがクソ生意気でむかつくやつばっかりなので全然気にならないんですよね、これが。
むしろ日ごろの鬱憤を晴らすように暴れ回る先生たちの活躍っぷりだけで白飯3杯はイケる。
戦い方も体育の先生は自慢の体力で、科学の先生は科学の知識で、それぞれゾンビに立ち向かうあたりがすごくうまい。小学校という閉鎖された空間もゾンビ映画にはピッタリの舞台だし、そもそもなぜ子どもがゾンビ化するのかというところも「そういう映画だから」で済ませず、ちゃんとわかりやすく説明される。いや、すごくよくできてるんです。

随所に小ネタを散りばめて笑いどころもバッチリだし(「ロード・オブ・ザ・リング」ネタでいじり倒されるイライジャ・ウッドが最高)、ゾンビ映画マナーに則った終わり方もいいし、作ってる人たちは実際にゾンビ映画が好きで、よく勉強してる人たちだと思う。
子ども相手だからとゴア描写にも手を抜かず悪趣味に攻める姿勢もポイントが高い。

あれ?なんかいつのまにか大絶賛してるな。
でもなんだろう。きれいにまとまりすぎてて破綻がないのがちょっとさみしい気もする。趣味の悪さもある意味では教科書通りという感じがある。
製作者がクレバーになればなるほど、なにか大事なものがこぼれ落ちていくような、ゾンビ映画が抱えるこのジレンマよ…。
我ながら面倒くさいことを言ってると思うけど、そう、ゾンビの世界には面倒なやつらが集まってるんだ。

言っとくけど、来週もゾンビ映画だからな!

☆☆☆…といっても内容は間違いなくおもしろいので誰でも楽しめると思うし、ゾンビ初心者の方の入門編としても最適です。ぜひご家族でご覧ください。


給食のナゲットからのゾンビ感染という映画を観た後でさすがにナゲットは食べづらいのでソーセージ。劇中でお腹を裂かれて腸を…いや、やはりこの話はやめましょう。

おだかやすゆき
昼は会社員/夜も会社員/座右の銘は「狼は生きろ、豚も生きろ」
つらい仕事の合間に楽しい映画を観て感想を書きます。
好きな映画は「人間はガンガン死ぬけど動物と子どもは絶対に助かる」映画。
https://twitter.com/odkysyk