Myアカデミー最優秀主演&助演女優賞W受賞作!『キャロル』

あらすじ:デパートのおもちゃ売り場で地味に働いていたテレーズちゃんが、ふとしたことで出会った魅惑のマダム・キャロルと恋に落ちる。

☆☆☆(星3つ)

毎日うすぼんやりと生きてる愚かなボクはこれまでルーニー・マーラという女優さんになぜかあまり注目してなくて、「あー『her/世界でひとつの彼女』のあの元奥さんの人ね、なんか好きって人がやたら周りにいるなぁ」くらいの認識だった(バカめ!)。
なので今作も「まずなによりも観るべきはケイト・ブランシェット様だろう」と思い込んで映画館に観に行ったんだけど、デパートのおもちゃ売り場でサンタ帽子をかぶってせっせとおもちゃを売るテレーズ(ルーニー・マーラ)を観て開始1分で認識を改めた。

信じられないくらいかわいい。

ルーニーちゃんの「ドラゴン・タトゥーの女」が公開された時、「なんか最近のフィンチャー映画、持ち上げられすぎじゃない?変な信者みたいなやつらがやたら崇拝してて気持ち悪いんだよなぁ」などとつまらないことを言って未だに観てなかった自分を引っぱたいてやりたい。このボンクラ!くだらないゾンビ映画なんか観てる暇があったらちゃんと勉強しろ!ダボハゼが!

そう心の中で激しく自分を罰しながら、1950年代の空気を(たぶんめちゃくちゃな手間暇をかけて)再現した絵画のような画面をうっとり眺めていたら、向こうから神々しいまでにゴージャスなマダムが…。キャロル様(ケイト・ブランシェット)のおでましだ。
そして2人の間に静かに灯る情熱…あぁ。

インターネットで「俺たちのルーニー・マーラが〜」などと言ってる人たちはこのケイト様とルーニーちゃんの邂逅が放つ輝きでいとも容易く消滅してしまうだろう。
「女性同士の愛」という物語をセンセーショナルなものではなく普遍的なラブストーリーとして成立させるには、キャロルとテリーズが見つめ合うシーンだけで十分だった。
キャロルの旦那は未練たらたらでその後も絡んできてたけど、2人のあんな表情を見せられたら周囲は黙って見守るしかないですよ。
ケイト・ブランシェット様のあの美しくも頼もしい背中を見て横槍を入れられるような者がいるだろうか。ボクにはとてもできない。

2人の女優の素晴らしい演技だけがシンプルなストーリーに深みをもたらす。それだけのパワーとケミストリーがケイト・ブランシェット様とルーニー・マーラの間にはしっかり渦巻いていた。ブラボー!

☆☆☆…てっきりアカデミー賞の女優部門をW受賞すると思ったら全然だったけど、ルーニー・マーラちゃんが残した輝きは永遠。

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スウェーデンのテキスタイルデザイナー、マリア・ベリストレムさんがデザインしたチョコレート。すごくおいしかったけど、「女性をテーマにした映画なのでチョコでもあげておこう」という発想自体が想像力の不足したおじさん丸出しって感じがするな。

おだかやすゆき
昼は会社員/夜も会社員/座右の銘は「狼は生きろ、豚も生きろ」
つらい仕事の合間に楽しい映画を観て感想を書きます。
好きな映画は「人間はガンガン死ぬけど動物と子どもは絶対に助かる」映画。
https://twitter.com/odkysyk