あらすじ:母なる地球を守るため立ち上がった聖戦士たちが波を潜り、空を飛び、雪山を滑り、銀行を襲う!いったい何がどうなってるんだ!
☆☆☆(星3つ)
FBI捜査官と銀行強盗の友情と対決を描いた名作映画「ハート・ブルー」のリメイクとなる今作。
タイトルは謎の「Xミッション」に変わり果て、原作でおなじみのサーフィンもそこそこに数々のアクロバティックなエクストリーム・スポーツ映像と「極限アクション!」「CGなし!」の力強い謳い文句が目立つ予告編の時点でかなり不審だったけど、「まぁ今のこの時代に単なるリメイクじゃ観客も納得しないよな…」と考え直した。
「ジャッジ・ドレッド」も「ロボコップ」も現代風にリメイクされてたもんな(大コケしたけど…)。
過去の名作と大胆な差異化を図るのはもちろん全然悪いことじゃないです(まぁだいたいロクな結果にならないけど…)。
ところがこの「Xミッション」に関してはそう一筋縄ではいかない。原作ではハーヴァード大学卒のエリート捜査官だった主人公のユタ(ルーク・ブレイシー)は「バイクで崖を飛び越える荒業にチャレンジして見事失敗、友人を失ったショックでなぜかFBI捜査官に転職する」というわけのわからない役柄に変更され、シケたチンピラだったライバルのボーディ(エドガー・ラミレス)はスポーツで地球を守るスピリチュアルテロリストに変貌を遂げていた。
俺たちの「ハート・ブルー」はリメイクではなく、魔改造されていたのだ!
初対面で突然「地球と一つになるんだ」とキラキラした瞳で語り始めるボーディ―とそれに感化され、立場を忘れてはまり込んでいくユタ…俺たちはいったいなにを見せられているんだと困惑しつつも、肝心のアクションシーンについてはどれもめちゃくちゃかっこよくて見応えバッチリだった。さすが原作を無視してねじ込んでくるだけある。
しかしひとつエクストリームを終えるたびにボーディ―のスピリチュアル講座が始まってしまうし、全編通してこのスポーツ→説法がひたすら繰り返される斬新な構成に付いてこれる者は少ないかもしれない。
特に「ハート・ブルー」を愛する者にとっては信仰が試される厳しい時間になることと思う。
でも原作にそんなに思い入れのない自分としては正直かなり楽しめてしまったことをここに告白したい。
原作の名シーン(傑作コメディ「ホット・ファズ」でもオマージュを捧げられてた例のアレ)を思いっきり雑に再現したシーンもたまりません。もはや「ハート・ブルー」ファンの心理を逆撫でするためにわざとやってるとしか思えないけど、ここはひとつ広い心でお楽しみください。そして地球とひとつになりましょう。
☆☆☆…最初は「星2つかな…」と思ってたけど、書いてるうちに「あれ?もしかして最高の映画だったんじゃ…」と混乱してきてなぜか星3つになってた。この映画が「キャロル」と同じ星の数ということだけで当コラムの程度の低さが露呈してしまうな。
劇中で岩だらけの雪山をスノーボードで滑降するシーンがかっこよすぎたので、思わず新潟にスノボーしに行って名物のスパゲティ風うどん「イタリアン」まで食べてしまった。
昼は会社員/夜も会社員/座右の銘は「狼は生きろ、豚も生きろ」
つらい仕事の合間に楽しい映画を観て感想を書きます。
好きな映画は「人間はガンガン死ぬけど動物と子どもは絶対に助かる」映画。
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