あらすじ:「独身者はリゾート施設に連行され、そこで45日以内に相手を見つけてカップルにならないと動物に変えられる」という世界のお話。
なにを言ってるかわからないかもしれないけど、本当にそういう話なんです。あと変えられる動物は自分で選べるそうです。へぇ〜。
☆☆☆☆(星4つ)
ギリシャ出身のヨルゴス・ランティモス監督初の英語作品。と言ってもこの人の場合、言語がギリシャ語だろうか英語だろうが芸風はそんなに変わらないみたいだ。
前作「籠の中の乙女」では頭のおかしい父親に外界から閉ざされて育った家族の狂気的な日常生活を描いて観客をドン引きさせてくれたけど、今回もまたやってくれた。この男、進化している…しかも多分ダメなほうに…!
うっかり奥さんに逃げられた主人公のデヴィッド(コリン・ファレル)はこの世界の掟に従ってリゾート施設に連行されて婚活に励むんだけど、いろいろあって動物に変えられる前に森に逃げ込むことに。
そこには管理社会に反抗する悲しき独身者たちが住み着き、レジスタンス活動に励んでいた。
改めて説明しようと書いてみてもなにがなんだか分からなくてもう心が折れそう。
そしてデヴィッドはそこで出会った女性(レイチェル・ワイズ)とついに恋に落ちる。しかし森では恋愛はご法度。
ちょっとでもイチャつこうものならリーダー(レア・セドゥ)が飛んできて、容赦ない罵声を浴びせられる。
果たしてレア・セドゥのこんな無駄な使い方があるだろうか。
ちなみに前半の婚活編にはベン・ウィショーも出てくるけど、これもまぁ本当にしょうもない役で、こういうギリシャのインディペンデントな映画監督の作品に名だたる俳優陣がこぞって出演しているというところに欧米の俳優たちの能動的な姿勢が見られて感心する部分もある。
それに比べて日本…いや、やはりこの話はやめましょう。
果てしなく続く不条理の嵐に劇場のあちこちから観客の押し殺した笑いが聞こえてきて「絶対に笑ってはいけない映画館」の様相を呈してたいたけど、もちろん映画自体は理不尽なだけじゃない。
前述のデビュー作「籠の中の乙女」でランティモスが訴えた「誰かに管理された世界なんかろくなもんじゃねぇ」というテーマは今作にも一貫して流れ続けているし、そのド極端な提示の仕方が相変わらず痛快だった。
でもまぁとりあえずそんな細かいことは置いておいて、スター俳優たちの珍妙なコントを観てニヤニヤ笑いながら楽しむのが一番です。最高だった。
☆☆☆☆…この空気感や”間”の取り方は後期「ダウンタウンのごっつええ感じ」のコントに通じるものがある。その手のものが好きな方はぜひ。
あいにく入ったお店にロブスターがなかったのでここは海老の塩焼きで我慢しよう。ボクは海老が大好きなんだ。
昼は会社員/夜も会社員/座右の銘は「狼は生きろ、豚も生きろ」
つらい仕事の合間に楽しい映画を観て感想を書きます。
好きな映画は「人間はガンガン死ぬけど動物と子どもは絶対に助かる」映画。
https://twitter.com/odkysyk