キアヌの新境地はまさかの「ギャルの責められて半泣きのおじさん」!『ノック・ノック』

☆☆(星2つ)

生き埋めにされて顔だけを地面に出したキアヌ・リーブスが猿ぐつわをかまされてる写真を初めて見た時から楽しみだったイーライ・ロスの新作。ついこないだ「グリーン・インフェルノ」を観たと思ったらもう新作ということで(実際には2013年と2015年公開)、結果的に日本のイーロスファンとしては楽しい1年になってしまった。

愛すべき妻子に囲まれて幸せな生活を送るエヴァン(キアヌ・リーブス)。その妻子の留守中、家でおとなしく仕事をしているところに道に迷ったびしょ濡れギャル2人(ロレンツァ・イッツォ、アナ・デ・アルマス)がやってくる。
親切心からギャルを招き入れたエヴァンはいつのまにか服を脱いじゃってるギャルたちの誘惑に勝てずうっかり…。

小汚い服装で街をうろついてたり、ひとりぼっちで自分の誕生日を祝ってたり、とすっかり孤独なイメージが定着してしまったキアヌが冒頭で(映画の中とはいえ)幸せそうに暮らしているのを見て目頭が熱くなった。よかったなぁ(映画の中だけど)。
豹変したギャルたちのとんでもない行動にひたすら狼狽する姿もさらに新境地を開拓した感がある。なぜよりによってそんなところを開拓したんだ、というのはさておき。
キアヌがどうしてこの映画に出ようと思ったのかよく分からないけど、「確かに一夜の過ちは犯したけど、もう勘弁してやってくれよ…」とつい同情してしまうのはキアヌの徳の高さの顕れというか…とにかくすごくハマってる。あのもっさりした声で情けない悲鳴をあげるところなんか最高。

自分の大事な家で暴れるギャルたちの姿を見ると子どもの頃、家に遊びに来たしつけの悪い友達が両親の寝室に無断で入ったり、冷蔵庫を勝手に開けたりした時のハラハラする気持ちを思い出して、キアヌの「早く出ていけ!」という怒りはすごくよく分かる。勝手にレコードに触るんじゃない!
でもギャルたちが暴れ回る理由は映画の中でそれとなく出てくるけど、それとは別にキアヌには情状酌量の余地があるし(ありますよね?)、人生破滅のキレッキレなバッドエンドかと言えばそんなこともないような気がする。
みんなに事情を説明すればなんとかなりませんか?キアヌかわいそうじゃないですか?ダメ?

☆☆…キアヌが生き埋めになるまでにどんなアクロバティックな展開があるのかと思ったらわりとそのままだったけど、あのうろたえっぷりをまた観たいのでぜひ次もひどい目に遭ってほしい。


男の子の夢(悪夢)がつまった映画を観た後には会社の食堂でトルコライスで決まり。トンカツ、ナポリタン、海老ピラフの組み合わせはまさに男子向けドリームタッグ。

おだかやすゆき
昼は会社員/夜も会社員/座右の銘は「狼は生きろ、豚も生きろ」
つらい仕事の合間に楽しい映画を観て感想を書きます。
好きな映画は「人間はガンガン死ぬけど動物と子どもは絶対に助かる」映画。
https://twitter.com/odkysyk