☆☆☆☆(星4つ)
TOHOシネマズで散々見せられた予告編の時点では、ゴジラ界隈に詳しくないボクなんかは「これ、大丈夫なのかな…」と他人事ながら心配してたけど、なんかみんながいいって言うので早速観に行った。みんながいいって言う映画ってほぼ確実におもしろいんだ。
「1954年に映画「ゴジラ」が作られなかった世界=怪獣という概念がない世界」(という設定だそうです)である現代日本に突如謎の巨大生物が出現!蹂躙される東京の街と逃げ惑う市民の群れ。政治家、自衛隊、科学者たちの終わりなき戦い(と会議)が今、始まる!
ということで、いや~おもしろかった。
予告編のあのモニョモニョ感は宣伝的な部分より「お客さんが劇場でとにかくゴジラを頭から尻尾まで楽しめるように」を優先した作り手の志であり、ある意味では我々観客への信頼でもあったのかと思うと胸が熱くなる。
現にこうして口コミで見に行ってるボクのようなのがわんさかいるのでその試みもまずは成功したのではないかと思う。
自社の60年来のドル箱看板スターであるゴジラ。そのゴジラがもつスター性を完全にゼロにして、14年ぶりの新作を100%の災害映画として完成させた思い切りのよさもまさに東宝グッジョブだ。それくらい今回のゴジラのビジュアル的な恐怖感はすさまじいものがある。特にあの眼。あれは話がまったく通じない狂人の眼だ。
2014年に公開されたハリウッド版「ゴジラ」に登場したゴジラも確かに恐ろしかった。風貌が完全に極道だったり、行動原理が「俺のシマを荒らすやつはゆるさん」というヤクザのそれに限りなく近いのも迫力があったけど、それは逆に言えば「話し合いの余地がありそう」ということでもあって、誠心誠意話し合えば「なんや、それならええわ」と納得して事務所に帰ってくれそうな雰囲気があった。
でも今回の「シン・ゴジラ」は違う。
どこの組織にも属さない、誰の命令も受けない、そもそも言葉が通じない狂人にわけのわからない因縁をつけられてるような底知れない不気味さで、311以降の「災害大国」日本に生まれた新たな脅威としてのポジションをバッチリ獲得してる。グッズの販売促進よりも大事なものをあえて選んだ東宝さんには敬礼するしかない。
観終わった後は「ゴジラ来たらどうする?」とマジに話し合ってしまうこと間違いなしの「シン・ゴジラ」。
観客の想像力を無理やり拡張するようなまさに「虚構」と「現実」の激しいせめぎ合いがそこにはある。
☆☆☆☆…ちなみにボクは「東京がやられたら神奈川県の実家に帰るかな」などと思ってけど、劇中で神奈川県もばっちりやられてましたね。詰んでる。
ゴジラにめちゃくちゃにされたウチの実家の方でとれたしらすのパスタ。復興支援で食べにきてほしい。
昼は会社員/夜も会社員/座右の銘は「狼は生きろ、豚も生きろ」
つらい仕事の合間に楽しい映画を観て感想を書きます。
好きな映画は「人間はガンガン死ぬけど動物と子どもは絶対に助かる」映画。
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