☆☆☆(星3つ)
サマセット・モームの「世界十大小説」にも数えられるジェーン・オースティンの名作小説「高慢と偏見」。
読んだことありますか?
ボクはありません。すいません。
でも映画化されたものは何本か観たことがある。18〜19世紀の英国貴族社会を舞台に起こるあれこれを女性の鋭い目線で描いた、「特にドラマチックなことはなくても、人々の営みってなんかおもしろおかしいよね〜」的作品のハシリみたいなやつですよね。教養が不足していて申し訳ない。
イギリスの片田舎に暮らす5人姉妹は立派な貴婦人を目指して教養と作法(と東洋武術)を学び、(イギリス中にあふれるゾンビと戦いながら)来るべき貴族の男性を待っていた。
そこにのこのこ現れたいいところのおぼっちゃんとその友達の(ゾンビハンターでもある)ダーシー(サム・ライリー)。次女のエリザベス(リリー・ジェームズ)は”高慢”な態度のダーシーに”偏見”をもちながらも(ゾンビとの戦いを経て)惹かれ合っていく。
様々な誤解やすれ違い(やゾンビの襲撃)に翻弄される二人の恋は果たして…!(そしてイギリス全土をゾンビの影が…!)
上記が「高慢と偏見」のあらすじ、カッコ内の記述が「〜とゾンビ」で付け加えられた要素だけど、イヤー、実ニ見事ニ溶ケ込ンデマスネー(棒読み)。
貴族たちの優雅なダンスパーティーにゾンビが乱入してきて血みどろの戦場に変わっても全然違和感ないし、女性たちがいきなりスカートを捲し上げてナイフをゾンビの脳天に突き刺すのも当時では必要不可欠な作法だったに違いない。世に言う「ゾンビしぐさ」ですね。
この「名作小説にゾンビ要素を足す=名作ゾンビ小説の誕生!」という愚かな発想はとても嫌いになれそうにないし、なによりこの作品のいいところは「高慢と偏見」の部分をガッチリとやりきってるところ。
最近のしょうもない映画にありがちな開き直りは一切ない、かなり気合の入った作りでむしろ「なぜここにゾンビを…」と思わないでもない。
見るかぎり5姉妹はそれぞれ獲物も違うし、バトルスタイルにも個性が発揮されていそうなだったけど、劇中ではあまり描かれなくて残念だった。もっと見たかった。それくらい中世のお耽美な雰囲気から一転、武装して大暴れする5姉妹は素晴らしかった。
「高慢と偏見」パートと「~とゾンビ」パート、それぞれに手を抜かず全力で作り上げたゆえのどっちつかずさというジレンマはあるものの、久しぶりにしっかり手の込んだ、それでいて斬新な切り口のゾンビ映画に仕上がっているので、最近のたるんだB級映画界も少しは見習ってほしい。
☆☆☆…最後をもう一度武器を手に取る雄々しい姉妹たちの勇姿で終わらせてくれたら星4つだった。本当に惜しい。
そういえば久しぶりに「脳を食べる」タイプのオールドスタイルなゾンビを見たので、メキシコ名物の骸骨ボトル入りテキーラを飲んで乾杯。
昼は会社員/夜も会社員/座右の銘は「狼は生きろ、豚も生きろ」
つらい仕事の合間に楽しい映画を観て感想を書きます。
好きな映画は「人間はガンガン死ぬけど動物と子どもは絶対に助かる」映画。
https://twitter.com/odkysyk