☆☆☆(星3つ)
ビートルズって好きですか?
ボクはけっこう好きです。
この映画ではそのビートルズが世界中を旅しては各地で熱狂を生んだ怒涛のツアー生活、そして徐々にそのツアー生活に疲弊していくバンドの姿が克明に記録されている。
もちろんこれまでも「過酷なアメリカおよび世界ツアーに疲れたビートルズが中期以降ライブ活動を引退した」という事実は知っていて、結果的に最後のライブになったいわゆる「ルーフトップ・コンサート」の映像を骨でもしゃぶるように観ては「いいなぁ」などと涙しているボクのような者からすると常々「惜しいなぁ」と思っていた。
でもこの映画を観ると「そりゃやめたくなるだろうな…」とため息をつくしかない。
ビートルズは世界一”ブラック”なバンドだったのだ。
イギリスで天下をとったジョン、ポール、ジョージ、リンゴのビートル4人組は満を持してワールドツアーに繰り出す。
世界中で狂熱のコンサートを日夜繰り返すビートルのみなさんは徐々に調子に乗っていき、「誰もが俺の彼女になりたがる」などと歌い出す始末。ついこないだまで「あの娘お前が好きだってよ、ヒュ〜!」みたいなことを叫んでたくせに展開が早い。
しかし彼らの前には過酷なツアー日程、演奏を全く聴かずに絶叫と失神を繰り返す客、そしてぶしつけな質問を繰り返すマスコミども、という強敵が次々立ちはだかる。
果たしてビートルたちはこの困難を乗り越えて夢のツアー生活を続けることができるのか!?(できませんでした)
序盤から中盤にかけては忙しないながらも和気あいあいとツアーに繰り出すバンドの様子が楽しく描かれていてほほえましい気持ちになる。特に全編通して軽口を叩いては滑り倒すジョンの姿は神格化とはほど遠いしょうもなさで親しみが湧く。本当にひどい。
そして日本を含む世界ツアーの途中では伝説の「ビートルズはキリストより人気がある」発言で大ひんしゅくをかうことになる。
炎上ミュージシャンの元祖とも言えるジョンの発言はさておき、人気絶頂のビートルズに対する誹謗中傷が日に日に勢いを増してくる中盤以降は観ていて胸が痛む。
無理なツアー日程といい、もう少しメンバーの心情を慮る向きがあれば、彼らももう少し楽しくライブを楽しめていたかもしれないと思うと残念でならない。
まぁ後の時代の人間はなんとでも言えるのでアレだけど、逆にそうやってメンバーに感情移入できてしまうのはそれだけ今作がドキュメンタリー映画として優れているということでもあるのかもしれない。お疲れ、ビートルズ。
☆☆☆…手堅い作りだけど最後に秘蔵ライブ映像もついてるのがなにしろ最高です。太っ腹!
リバプールのビートルズ博物館に行った時の写真。この後バンドの仮装で写真を撮ってくれるサービスでバッチリぼったくられました。
昼は会社員/夜も会社員/座右の銘は「狼は生きろ、豚も生きろ」
つらい仕事の合間に楽しい映画を観て感想を書きます。
好きな映画は「人間はガンガン死ぬけど動物と子どもは絶対に助かる」映画。
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