今回は、年末年始のお休み取り上げ損ねた、間の悪い、でも愛すべきいくつかの映画について成仏させる意味でまとめてご紹介です。
公開終了してるものもありますが今後のご参考までに。
『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』
☆☆☆☆(星4つ)
ケニアに潜伏したテロリストをドローンで捜索する作戦中、テロリストがまさに自爆テロの準備をしているところを発見。しかし爆撃機で始末しようにもそこは市街地の真っ只中。ミサイルを撃とうものなら確実に民間人に死者が出るけど、マジこの作戦どうします?という今この瞬間にも現実に行われている戦争の最先端を描いた作品。
爆撃を許可する人、爆撃を指令する人、そして指令を実行する人…全員の胃がキリキリする音が聞こえてくるようなどん詰まりの状況をリアルタイムで描いた、地味ながらも骨太な映画だった。
法的、軍事的、政治的理由からあらゆる決断が棚上げされていく様は「シンゴジラ」に並ぶ究極の会議映画とも言える。どこの国も似たようなものなんだなぁ。
『ワイルド わたしの中の獣』
☆☆☆(星3つ)
内気で人付き合いが苦手な女性アニアは通勤中に通りかかった森で見かけた一頭の狼にまさかの一目ぼれ。「ドイツってそこらの森に普通に狼がウロウロしてるのかよ…」という観客の心配をよそにアニアは見事狼くんの捕獲に成功。憧れの同棲生活をスタートさせるも、野性味満点の狼くんは暴れる、よく喰う、吠え散らかすの三重苦でアニアは徐々に社会生活から逸脱していく…。
こう書くとなんか楽しそうだけど、実際にはシリアスな雰囲気で笑いの要素はほとんどない。なんといってもアニアは真剣なのだ。彼氏彼女に入れあげて周りとの関係がおろそかになったり、交際相手の趣味嗜好の影響を受けることって誰にでもありますよね?そらアニアも会社のデスクで…おっとここではこれ以上は言えない。
エキセントリックなお話の先に不思議な解放感がある一風変わった映画。
『最後の追跡』
☆☆☆☆☆(星5つ)
銀行に差し押さえられた代々続く農場を取り戻すために銀行強盗を繰り返す兄弟とそれを追う引退間近の保安官、という正統派西部劇のフォーマットを借りながら、資本主義社会に飲み込まれていくアメリカ人、つまり昨今のトランプ騒動のど真ん中にいるような名もなき人々を描いた最前線の現代映画であり、さらには超一流のエンターテインメントでもある、というとんでもない作品。
最近増えてきたNetflix独占配信の映画の中にすごい傑作が潜んでいやがった。登場人物全員が日本人には理解不能なテキサス魂に従って突っ走っていくのも最高に笑える。これはオススメです。
本当はどれも一回ずつに分けて語りたい魅力的な作品ばかりだけど、諸々の都合でこういう形になってしまった。頼むから成仏してくれ〜。
映画の話なんかやめて素晴らしかった「DAVID BOWIE is」展の話をしようかとも思ったけどさすがに思い止まった。ボウイカーかっこいい。
昼は会社員/夜も会社員/座右の銘は「狼は生きろ、豚も生きろ」
つらい仕事の合間に楽しい映画を観て感想を書きます。
好きな映画は「人間はガンガン死ぬけど動物と子どもは絶対に助かる」映画。
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