『マリオン・コティヤール様まつり』

みなさんはマリオン・コティヤール様は好きですか？ボクはもちろん大好きです。大好きじゃない人なんているんですか…？そんなのちょっと信じられないですね。
現在進行形で大活躍してる女優さんなのにすでに往年の“スタア”を思わせる出で立ち。
スクリーンの光と闇を一手に引き受ける唯一無二の存在感。
そんな素晴らしいマリオン・コティヤール様の出演作が相次いで公開されるというのでもう盆と正月が同時多発というかなんというかとにかくハァハァ言いながら映画館に向かった。

『たかが世界の終わり』☆☆☆☆(星4つ)
若くして病で余命わずかの劇作家ルイ(ギャスパー・ウリエル)は自分の死を家族に告げるため、12年ぶりに帰郷する。手作りの料理で精一杯もてなす母(ナタリー・バイ)、幼い頃に別れてほぼ初対面の妹(レア・セドゥ)、よそよそしい兄(ヴァンサン・カッセル)とその控えめな奥さん(マリオン・コティヤール)、というホームなのかアウェイなのかなんとも言えない空気の中、ルイはなんとか秘密を告白しようとするも、これがなかなか言い出せない。言い出せないんよ…。

「まだ20代なのに才能あふれる映画ばかり撮りやがって」と世界が嫉妬する若き天才グザヴィエ・ドランの新作。
どうですかこの面子。フランス最強の役者たちをさらっと集めやがるドランは本当に憎たらし…じゃなくて人気がありますね。
「主人公の帰郷とうまくいかない家族模様」という山田洋二的、「男はつらいよ」的世界の中でマリオン・コティヤール様はすぐにキレる夫に影のように寄り添う奥さんを、「サンドラの週末」に続いて華々しいオーラを完全に消して地味～に、おどおどと演じている。
めちゃくちゃにぶつかり合う家族4人をただ一人客観的に見つめるマリオン様を始め、全員に素晴らしい見せ場があるんだけど、その中からだれかひとり選ぶならトロフィーはやはりお母さん役のナタリー・バイの手に渡ることなると思う。
実家に帰ったら話そうと思ったことも結局口に出せず終わってしまうボクのような親不孝者にはひときわ沁みる作品。

『マリアンヌ』☆☆☆☆(星4つ)
第二次世界大戦の真っ只中、カナダ人スパイのマックス(ブラッド・ピット)はナチス将校暗殺作戦中にフランス人レジスタンスのマリアンヌ(マリオン・コティヤール)と出会う。
共に偽の夫婦を演じて命がけのミッションを見事成し遂げた二人はそのまま現実でも勢いよく結婚。戦争に負けずハッピーな生活を送るさなか、マックスの元に衝撃的な知らせが…。

登場人物は家族5人だけというミクロな世界の話だった「たかが～」から打って変わって、こっちは御大ロバート・ゼメキス監督、ブラッド・ピット共演の歴史とサスペンスとロマンスが交錯するスケールの大きな映画に仕上がっている。
マリオン様もオーラ満開で「たかが〜」での鬱憤を晴らすかのようにマシンガンをぶっ放しておられます。これはこれでいいぞ！
クラシカルで豪華な映像、それに全く見劣りしない主演コンビの華やかさで観終わった後に「いや〜映画観たなぁ〜」という満ち足りた気持ちになれる。砂嵐のラブシーンは今年の「ベスト・ラブシーン賞」に堂々ノミネートされること間違いなし。

というわけでマリオン様ファンとしてはすでに大満足なんだけど、来月にはさらに「アサシン・クリード」が控えてるんですよね。最高の年かよ。

「マリアンヌ」でブラピがカナダ訛りのフランス語をマリオン様に笑われていたけど、最強のファストフード「プーティン」を生んだカナダは最高。