☆☆☆☆☆(星5つ)
舞台はロサンゼルス(またか)。
喫茶店で働きながら女優を目指すミア(エマ・ストーン)はオーディションには落ちるわ、パーティーは空振るわ、おまけに愛車はレッカー移動されるわ…と踏んだり蹴ったりのうらびれた気持ちでふと目に付いたレストランに立ち寄る。そこでは売れないジャズピアニストのセブ(ライアン・ゴズリング)が今まさに仕事をクビになっていた!
どうにもパッとしない二人はその後何度も街で遭遇し、同じく夢を目指す者として惹かれあっていくが…。
ミアとセブのパッとしない現状の紹介から二人の出会い、盛り上がる音楽、カラフルな衣装で踊る人々…最高なシーンを惜しみなく使った予告編を見た時から「うぁぁこのシーン早くデカいスクリーンで観てぇぇ」と心待ちにしていたたけど、実際にスクリーンで観てもその期待を全然裏切られない。最高ですよ、これは。
もちろん想像と違う使われ方をしていてもそれはそれで「おっ、そうきたか!」と盛り上がってしまう。近年まれにみる予告編と本編とのハッピーな相乗効果がそこにはある。
華やかなシーンの数々が実はかなりの部分、地道な人力で撮影されているところも魅力的だ。
縦横無尽に踊りまくるミュージカルシーンで入れ替わり立ち替わり現れる人々をカメラが必死に追いかけてる舞台裏を見た時はカメラマンの苦労を思って心の涙を流したものだ。
汗まみれの力技で作られる極上の夢…そういうところにボクなんかはつい好感をもってしまう。
「ミュージカルって突然歌いだすのがどうも…」という心配な方もいると思うけど、そういう時間になると出演者がせっせと靴を履き替えながらおもむろに踊り始めてくれたりして心の準備ができるので、その手のものにアレルギーがある方もどうか安心してください。
たしかに
(以下、急にネタバレします)
なんだかんだあった結果、ミアはハリウッド女優として成功し、セブはジャズレストランを開店してこっちはこっちで大成功というのは、杜撰とまでは言わないけど、あまりにもイージーすぎやしないかとは思う。ハリウッド業界人好きする要素をたっぷり盛り込んだあざとさを指摘されることも多いみたいだ。ただ隙のある脚本にはそのぶん観客が入り込めるスペースがあるとも言えるし、デイミアン・チャゼルは映画人だけでなくあくまであらゆる人が自分を重ねられるようにあえて王道なストーリーが用意したんだと好意的に解釈したい。
夢を追いかけたことがあろうがなかろうが、想いが成就してようがしていまいが、それでも生きるボクらのために開放された最上級のエンターテインメント映画、ボクは全力で支持していきたい。ブラボー!
☆☆☆☆☆…アカデミー賞作品賞の読み間違えもなんとなく完璧すぎないこの映画らしいハプニングで微笑ましかった。関係者はめちゃくちゃシバかれたと思うけど。
観終わった後は夢がパンッパンに詰まった大人様ランチで乾杯。
昼は会社員/夜も会社員/座右の銘は「狼は生きろ、豚も生きろ」
つらい仕事の合間に楽しい映画を観て感想を書きます。
好きな映画は「人間はガンガン死ぬけど動物と子どもは絶対に助かる」映画。
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