☆?
「國村準が韓国映画でめちゃくちゃやらされてるらしい」「なんか賞も取ったらしい」という噂が去年あたりからまことしやかに囁かれていた今作。
韓国ではめちゃくちゃに大ヒットしたそうで、子どもたちが國村隼さんを見ただけで泣き出す事態にまで発展してるみたいだ。
ほぼ全裸で山中を這いつくばり、泥まみれになって生肉にしゃぶりついてるあの姿を見たら仕方ない気もする。
ていうかこの内容で大ヒットしたのかよ。韓国のみなさんはなんというか実にガッツがある。
平和な田舎町「谷城(コクソン)」にいつからか居ついていた一人の日本人(國村準)。この素性も目的もわからない謎の男が現れて以来、その一帯では突如発狂した身内が家族を殺傷する異様な事件が多発していた。
町の警官ジョング(クァク・ドウォン)は渋々その捜査に乗り出すが、それは(もちろん)地獄への入口だった…。
いかにも田舎のダメ警官という見た目のジョングは殺人事件が起きても家でだらだら朝ごはんを食べてるし、事件現場では発狂する容疑者を見てビビりまくるようなそこらへんにいる普通おじさんなんだけど、そのおかげで陰惨な事件が多発してるわりには前半は気楽に見られる。
娘との心温まるやりとりなんかを観てると「このまま何事もなく終わってほしい」と願わずにはいられない。でももちろんそうはいかなかった。
ジョングの娘に異変が起きたあたりから映画の内容が大きく歪みはじめる。すっかり憔悴したジョングは暴走し、國村隼が動き出す。かすかにあった笑いの要素はどこかに消え去ってしまう。
そしてその後の展開といえば…
(以下、若干のネタバレ)
1)ファン・ジョンミン演じる祈祷師が爆音のトライバルビートと燃え盛る炎をバックに鶏の血を顔に塗りたくりながら狂った踊りを披露する
2)國村準も負けずに滝に打たれ、念仏を唱えまくる
3)行き過ぎた演技指導を疑うレベルで悶絶絶叫するジョングの娘
4)なんだかよくわからないけど死人も甦る
…もっと書き連ねたい出来事がたくさん起こるんだけど、ここから先はやはり劇場で確認してほしい。
そして今後は映画やテレビで國村隼を見るたびに震え上がるようになってほしい。
この映画を観て「コクソンに行ってみよう」と思う人はまずいないだろう。むしろ訪れる人が激減するかもしれない。
でも「町の評判なんか知るか」という徹底した姿勢が韓国映画の強さであり、そこには作り手と観客の間の確かな信頼関係がある。
それゆえに登場人物が味わった恐怖と混乱を同じように観客にも要求してくるとんでもない映画だった。
必見です。
☆?…160分に渡って血と泥と各種体液にまみれた「なんだこれ」を全力でぶつけてくれた映画に敬意を表して星は?です。つけようがない。
血みどろ描写の直後に平気で焼肉を食べる場面をぶち込んでくる映画にならってギョプサりました。
昼は会社員/夜も会社員/座右の銘は「狼は生きろ、豚も生きろ」
つらい仕事の合間に楽しい映画を観て感想を書きます。
好きな映画は「人間はガンガン死ぬけど動物と子どもは絶対に助かる」映画。
https://twitter.com/odkysyk