スカル・クリーチャー・フェスティバル『キングコング:髑髏島の巨神』

☆☆☆☆(星4つ)

2014年の「GODZILLA ゴジラ」を発端に、怪獣たちの夢の競演を実現するべく発足された「モンスターバース」シリーズの第二弾。
今回はこれまで美女をさらったり、高層ビルに登ったりしてはしゃいでいたキングコング氏がスケールアップして登場。
でも今さらキングコングって…大丈夫なんですかぁ?(大丈夫でした)

舞台はベトナム戦争終結間近の1973年。
秘密研究機関「モナーク」は人工衛星の観測で太平洋に浮かぶ謎の孤島“髑髏島”を発見。人類の叡智を結集した調査隊を派遣する。
しかしその島は太古の怪獣たちが暴れ回るとんでもアイランドだった。ミジンコ同然の人間たちの運命やいかに!

「GODZILLA ゴジラ」といえば、冗談が一切通じなさそうな風貌のゴジラさんが縄張りを荒らすチンピラ怪獣どもをシメるマジの極道映画だったけど、そこは銀幕の大御所ゴジラさん。出てくるまでがとにかく長かった。それまでチンピラ怪獣も場をつないでいたけど、ここはやはり少しでも早く、そして長くゴジラさんの雄姿が観たい…。
同じようなことを今回の監督ジョーダン・ヴォート=ロバーツも感じていたのか今作はその欠点を完璧に克服している。コング、即登場。そしてもったいぶり一切なしの即大暴れ。
この時点でついつい笑顔になってしまう。これだよ、これ。

エイリアンから各種神様、巨大災害に至るまで無数の脅威が地球を襲いまくっている昨今、「今さらデカいゴリラがちょっと暴れたくらいでは観客は飽き足らないんじゃないか」と心配していたけど、髑髏島のポテンシャルの前にはまったくの杞憂に過ぎなかった。
守護神とは思えない若手芸人ばりの勢いで飛び出してくるコング氏を筆頭に異常なテンションで人間に襲いかかるクリーチャーのみなさんが観客に飽きさせる暇を一切与えない。

そんな怪獣パラダイスでは人間など吹けば飛ぶような存在なんだけど、巨大な足で踏み潰され、巨大な尻尾で吹っ飛ばされ、巨大な棘で串刺しにされる…そんな人間たちの見事なやられっぷりは、その手の描写を極力避けた「GODZILLA ゴジラ」にはなかった魅力だ。
これは怪物映画だぞ!子供の目なんか気にしてどうする!

無闇に美女をさらったりせず、最低限の接触で礼儀を通すストイックなコング氏をヘッドライナーに、様々なクリーチャーで脇を固めた怪獣たちの野外フェスティバル。巨大なスクリーンでぜひとも!

☆☆☆☆…「地獄の黙示録」をエンタメ全振りでリメイクしたような”地”の部分もなかなかよかった。サミュエル叔父貴お疲れ様でした。


こんな特盛映画の後にはいろんなローストビーフ盛り合わせでキメるしかない。

おだかやすゆき
昼は会社員/夜も会社員/座右の銘は「狼は生きろ、豚も生きろ」
つらい仕事の合間に楽しい映画を観て感想を書きます。
好きな映画は「人間はガンガン死ぬけど動物と子どもは絶対に助かる」映画。
https://twitter.com/odkysyk