『愛すべき機内映画たち(後編)』

愛すべき機内映画たち(後編)

前回うっかり「後編へ続く」と書いてしまったものの、帰りの飛行機では死ぬほど眠くて「なぜ半分ずつ載せなかったんだ…」と後悔したけど、ポルトガルの青い空と開放的な空気が筆を滑らせたに違いないので、機内食の合間にがんばって観たのがこちらの作品たちです。

「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」☆☆☆(星3つ)
今回の旅行でもお世話になった、みんな大好きマクドナルドの創業者(ファウンダー)についての映画。実際の創業者であるマクドナルド兄弟ではなく、マクドナルドを世界有数の大企業に成長させた男の話なんだけど、なにしろ兄弟が始めたばかりのマクドナルド黎明期の話がすごくおもしろい。この兄弟がその後、主人公であるレイ・クロックにより辛酸を舐めさせられる姿すごく気の毒で、兄弟のごく個人的なアメリカンドリームが巨大な怪物に変貌していく姿に胸が痛む。

「湯を沸かすほどの熱い愛」☆☆☆☆☆(星5つ)
ガンのため余命わずかと宣告されたお母さんが家族のために奮闘する…というあらすじを読んで「ふーん」と鼻をほじりながら観始めたらこれがえらいパワフルな映画で驚いた。ボクのような観客の先入観すら逆手に取ったと思わされるのは考えすぎかもしれないけど、アラビア海の上空で人知れず流した涙をボクは忘れないと思う。名作。

「パッセンジャー」☆(星1つ)
「120年かけて冷凍睡眠しながらはるか彼方の惑星を目指すつもりがうっかり30年で起床しちゃう」というお話しがどう転がっていくんだろう」と思ったら、それ以上でもそれ以下でもないまま終わって驚愕した。こんなにお金をかけて(かかってるんだと思う)、今をときめくクリス・プラットとジェニファー・ローレンスを使って、こんなに展望のない映画を作れるのがすごい。ボクは決して怒ってるんじゃなくて単純に驚いちゃっただけです。

「アサシン・クリード」☆☆(星2つ)
原作のゲームをよく知らないボクは今年初めのマリオン・コティヤール様祭りの際に唯一スルーしてしまった作品だけど、マリオン指数(作品内でマリオン・コティヤール様がどれだけ輝くかを数値化したもの)においては申し訳ないけど赤点と言わざるをえない。誰でもいいだろ、この役。どうせならアサシン役で採用してほしかった。その点、マリオン様に思いっきり機関銃を乱射させた「マリアンヌ」のロバート・ゼメキスは有能。

以上、結果的には放っておいたら観ないまま終わったようなのもあったので、いい機会だったのかもしれない。世の中には映画館でもレンタルビデオでもなく「飛行機の中で観るべき映画」というものが確かに存在する。また来年もこのような機会に恵まれますように。それにしても「パッセンジャー」はすごかったよなぁ。


リスボンの名店にて。その日獲れた新鮮な魚介類を選ぶといい具合に調理してくれる。いつものしょうもない写真とは一線を画す迫力がある。

おだかやすゆき
昼は会社員/夜も会社員/座右の銘は「狼は生きろ、豚も生きろ」
つらい仕事の合間に楽しい映画を観て感想を書きます。
好きな映画は「人間はガンガン死ぬけど動物と子どもは絶対に助かる」映画。
https://twitter.com/odkysyk