【あらすじ】
突然変異の猿インフルエンザで人類のほとんどが死滅する一方で知能を獲得した猿たちは縄張りの森で平和に暮らしていたが、わずかに生き残った愚かな人類は勝手に存亡をかけて総攻撃を始める。
我慢強く和平と共存の道を模索していた猿のリーダー「シーザー」だが、心無い軍隊により妻子を殺され、ついにブチギレ。リーダーの立場をすっかり忘れて復讐の旅に出る…。
オリジナルシリーズから途中すっかりなかったことにされてるティム・バートン版を挟んで本格的にリブートされた「猿の惑星」シリーズも、ついに完結編!
前作までで人類はほとんど絶滅しちゃったのでいよいよ本格的に猿推しです。もちろん敵対する人間とか謎の少女もいるにはいるんだけど、そんなものはあくまで添えものに過ぎない。
猿の、猿による、猿のための映画…これがリブート「猿の惑星」の基本姿勢だと勝手に思ってるけど、それがいよいよ極まってきて、監督は観客が人間だということを忘れてしまったんじゃないか、むしろもう猿が監督してるんじゃないかと不安になる。それくらい終始猿目線、猿リスペクトで物事が進んでいく。
一人の猿がリーダーとして途中家族を失ったり、敵に捕らわれて磔にされたりと各種受難を味わいながら猿たちを新天地へと導く…ってこれもう思いっきり聖書ですよね。そんな歴史上の偉人であるシーザーの英雄譚に滅びゆく人類が入り込む余地はほとんどない。
歴史の必然として淘汰されていく人類は我々人間の観客から見ても哀れで、「あぁここはもう猿のための惑星なんだ、人間ごときが生きててすいません」とすっかりあきらめの心境になってしまう。
全米では興行収入的にかなり厳しかったみたいだけど、大作ひしめく夏シーズンに美女もイケメンも出さず「猿!猿!猿!」だからそれも仕方ない気がする。
映画のように猿が地球を支配するようになった遠い未来、学校で道徳の教材として使われる時にこそこの映画の真価が発揮されるにちがいない。そして小猿たちはシーザーの偉大さと人類の愚かさを学ぶことだろうと思う。
もちろん今を生きる類人猿の読者や友人にも絶対オススメの早すぎた一作。
昼は会社員/夜も会社員/座右の銘は「狼は生きろ、豚も生きろ」
つらい仕事の合間に楽しい映画を観て感想を書きます。
好きな映画は「人間はガンガン死ぬけど動物と子どもは絶対に助かる」映画。
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