根気は彼女を救えるか『ケンガイ』

漫画は基本ジャケ買いです。
しかもここ数年はAmazonという便利なサービスがあるもんだから、最小限の情報だけで買うこともザラ。
思えば、多少立ち読みができたり、装丁などもチェックできる本屋さんは本当に素晴らしいですね。
みんな本屋さんに行きましょう。そして散財しましょう。

そんなある日、連日朝5時に起きて仕事を終え、自分にご褒美するしかない!と思って半分寝ながらAmaってたらこの作品が出てきた。

大瑛ユキオ/小学館

『ケンガイ』

Amazonは勿論ですが、ここ近年のWebにおける個人情報収集を活かしたオススメは中々性能がいいと思う。
気が付いたらクリックしてあらすじ確認して既刊を全部購入していました。

主人公の男性は、バイト先でイケてる側・最近で言うところの❝リア充❞グループに属していて、彼がそのグループから❝ケンガイ❞と称されるグループの一人に惚れるところから物語は始まります。
このケンガイの女性が難攻不落の最上級な感じの女性で…というお話。

どれくらい難儀かというと、コミュニケーションが成立しない。
と言っても会話はできるんです。むしろ頭のいい女性な気もする。でも好意が伝わらない。全くの無駄に終わってしまう(ことが多い)。
彼女は好意を受け取ることを徹底的に拒否する(というかどうやら好意の受け取り方を根底から知らない設定っぽい)ので、主人公がどれだけ手を尽くそうともスルリと交わされてしまいます。
読んでてちょっとイライラするレベル。
こんな人いる?!いたとして好きになったとして好きでいつづけるの滅茶苦茶しんどくない!?その根性をもってして就活しなよ!!
とかそういう気持ちにならないわけでもない。
とはいえ女性側が全く・1ミリも歩み寄りがないというわけでもないので、気になって読んだらすぐに既刊分は読破。
変な気持ちが残る妙な作品です。

少女漫画だと時々こういう『暖簾に腕押し』系の作品はあるけど、そこにいい意味で邪魔者のキャラクターが現れて、三角関係になったり色んな障害を越えてどうねんこうねんっていうのがあるから、まだ読み手としての感情の変化はある。
でもこの作品は、少なくとも私は『ええ?』『ハァ!?』『????』が続く。ヒロインの心の不動さの凄まじさよ…。
久しぶりに漫画を読んでイライラするという経験をしてしまった。

でも、つまらない作品というわけではないです!そこは断言できます。むしろ面白い。ただ読後感は人によって大きく違ってくる作品。
スッキリ爽快/胸キュン❤/涙の感動。。。だけが作品じゃないよなあと再確認できる、これはこれで立派な疑似体験(ただし傍観だけど)。
3巻終わりごろでやっと状況が少し前進します。一安心!!

彼女が何故こういう人格なのか、なんとなく初期から臭わされてはいるけど、未だにハッキリとはわかりません。
もしかしたらずっとハッキリしないかもしれない。彼女はそれを語ることを良しとしなそう。でもそれはそれでリアリティがあっていいな。

一つ気になっているのが、この女性、漫画だからなのか、そこまで陰口言われるような感じの外見にはなっていないんだけど、でも実際はその外見の良し悪しを指摘する表現もあったりして。
こういう溝こそ、実写化の腕の見せ所だよなぁなんて思う。
実写化するとしたら…結構すぐ思いつくけど、こういうのこそ飲みに行ったときに盛り上がりたいですね。


しかしまー最近こういうヒエラルキーが描かれる物語がマンガ映画ドラマe.t.c.ジャンル問わず多いですけど、やっぱりみんな疲弊してるのかな。

やまなか(仮)
貯蓄もないのに漫画をジャケ買いしては一喜一憂しているどうしようもない人間。
狭く浅く生きています。