永遠の命題『AIの遺電子』

2045年、人工知能が人間を支配する特異点が訪れるとされる2045年問題。
ターミネーター的世界が最早映画の世界じゃなくなる日がくるのかも…

知能云々はさておき、機械が心を持つのか?というのは割と永遠のテーマな気がします。

山田胡瓜/秋田書店
『AIの遺電子』

近未来。
生身の人間と同じようにAIが人間型ロボットとして馴染み、暮らしている世界。
主人公は、AI専門の医者であり、時に裏の名前で違法な治療もする、AI界のブラック・ジャック。

話題の作品なので、紹介するのも今更な気がしているのですが、もしまだご覧になっていない方は是非こちらで試し読みもできます
最初何をどう勘違いしたか、繋がりのストーリーだと思ってたんですが、違いました。
1話ずつのオムニバス形式。主人公たちは同じですが、出てくる人たちは毎回違います。なので何巻から読んでも大丈夫。

この作品に出てくるAI達は見た目は完全に人間で、中身も本当に人間に近く、喜怒哀楽は勿論、愛情なんかももう人間そのものです。
人間に近づきたくてちょっとしたささやかな悩みがあったりする。
ここで、ずーんと重い感じでやられるとちょっとこちらもしんどくなりますが、そうではなく淡々としたトーンで進んでいくので、読みやすい。
このトーンもブラックジャックに近い気もする。そんなことないですかね。

一応人間とAIの描き分けは瞳で区別されてはいますが、それを一緒にしてしまうと、本当に人間とパッと見の区別がつかない。
でもこれはあくまでも私たちとAIのいい共存であることは確かですよね。
AIが人間の知能を超える日が来たとして、こういう未来を選択してくれたらいいなあと願ってやまないのでありました。


たとえ既に私たちが『水槽の脳』で実際にこの世界が本物じゃなくても、気づかないうちに死んだら同じな気がするのでまあいいかなと。

やまなか(仮)
貯蓄もないのに漫画をジャケ買いしては一喜一憂しているどうしようもない人間。
狭く浅く生きています。