これは新しい別の何か『憂国のモリアーティ』

世界一の名探偵、シャーロック・ホームズ。
今もなお根強いファンが多く、架空の人物でありながらまるで実在していたかのような様々な像や記念碑があります。
そんなホームズの宿敵とも言える、犯罪界のナポレオンことモリアーティ教授。
その風貌は、本文中にこう書かれています。

「彼はすこぶる背が高く痩せていて、白くカーブを描く突き出た額を持ち、深く窪んだ眼をしている。ひげは綺麗に剃られ、青白く、苦行者のようであり、顔立ちにおよそ教授らしきものを漂わせている。彼の背は長年の研究から曲がり、顔は前へ突き出て、爬虫類のように奇妙に、いつでもゆらゆらと左右に動いている」(最後の事件)。

つまり、頭が良すぎて前頭葉が発達した眼光鋭い長身おじさん。
この人だ!

うーん悪そう。

そんなモリアーティ教授が、先日本屋さんでなんだかキラキライケメン男子になっていたんですけど。


『憂国のモリアーティ』

悪の教授・モリアーティ、彼はいかにして悪になったのか?というお話。
若いころはきっとイケメンだったに違いない!という希望なのか、もしくは大人の事情でイケメンのほうがいいのか、あまり風貌のことを言うのはこちらが野暮なんじゃないかという気もしてきましたけど、そんな若き日のモリアーティとその兄弟が主人公。
とある事件をきっかけに身分を偽って貴族になった彼らが、階級制によって腐敗した国の色々を裁いたり裁かなかったりするぞ!
どこかの女王の番犬みたいな気もしますが、こっちは生身の人間が頭脳で色々やっつけます。

これだけだと若干設定が入り組んでる感じですが、ともあれストーリーは『弱きを助け強きをくじく』という定番であり、ダークヒーロー故に楽しめることも多い。
1巻が出たばかりなので、是非この機会に読んでみてください。

そしてこれが面白いと感じた方は、原作のシャーロック・ホームズシリーズも最高に面白いので、そちらも是非。
原作のモリアーティはもっとラスボス感強いですよ。

ホームズに関しては語りだすと止まらないので、またの機会に。
作品を忠実に漫画化したものも定期的に出ますが、また出ないかなあと心待ちにしています。


『問題はね、この退屈な秋の夜長をどう過ごすかなんだ』。

やまなか(仮)
貯蓄もないのに漫画をジャケ買いしては一喜一憂しているどうしようもない人間。
狭く浅く生きています。