青春 is not dead『あの日、世界の真ん中で』

なんとなくタイトルが面白そうだったのと、装丁からしてなんだか青い感じがするぜこれは読むしかないぜ、と手に取ったはいいものの、あまりのその青さにおばさんはついていけなくなりました。
もちろん、いい意味で。

小鬼36℃/新書館
『あの日、世界の真ん中で』

田舎で育った男女が、高校生になって、大人になりそうになって、悶々としたり走り出したり青春するお話。

高校時代、馬鹿みたいに“ちょっとオシャレサブカル系少女漫画というかなんかこうやたら線のほっそい男女がカジュアルに寝たり煙草吸ったりするような漫画”を読み漁っていました。
県内じゃ栄えてるところに住んでいたけど、自分の家は信号もない山に囲まれた田舎で、線の細い男女なんかいないし煙草は蛇除けに吸うものでオシャレアイテムなんかじゃなかった。ただひたすらあの世界の中が憧れだったんでしょうね。あとそういうものが好きな自分でいることでここには似つかわしくないんだと思いたかったのかもしれない。

自分でも書いてて嫌になりますが、実際そうだったんだから仕方ない。

しかしそんな私も順調に、かつ支離滅裂に歳を取って、そういうのじゃあんまりザワザワしなくなってくるんですよね。
この『あの日、世界の真ん中で』を手に取ったとき、ああもしかしたらこれもそうなのかもしれない、でも違うかもしれない、どうなんだ、オサレサブカル漫画なのか、そうじゃないのか?とぐるぐるしたけどとりあえず読んでみました。
結果は、オサレサブカルになるべきはずだった人たちの、もう一つの世界線の高校時代って感じでした。
いや、なんというか、そうじゃないんですけど、田舎という前提はありつつオシャレなんですもん。今流行りのスクールカースト的に言ったら十分上位なんですもん。こいつらこのまま東京行ったら線の細い感じでオシャレ煙草吸って好きでもないのに気軽に寝たりしたりするんですもん。

これ以上書くと自分の気持ち悪い過去と憧れたスタイリッシュな青春のギャップで崩れ落ちそうなのでやめますが、とにかく面白いので読んでいただきたいです!1巻、読み切り!
なんてったってもう、青春なんだ~!
この青春の濃さ、これを味わってまともに立てる人間になりたかった。
だめですね。
毎週毎週マンガ読んでダメージ受けてる場合じゃないんだよな。


高校時代に自分の思い描くことを実現できなかった後悔をこんなにひきずるなんて誰も教えてくれなかったんですけど…

やまなか(仮)
貯蓄もないのに漫画をジャケ買いしては一喜一憂しているどうしようもない人間。
狭く浅く生きています。