それが一番クール『あしあと探偵』

映画にしてもドラマにしても、開始10秒で心を掴まれる作品ってありますよね。
この作品はまさにそれでした。
物語冒頭の1コマ、1ページ目、光も音も全部がぶわーっとリアリティをもってこちらを揺さぶってきます。

園田ゆり/講談社
『あしあと探偵』

タイトルや装丁からして面白いだろうなということは既にビンビンに伝わってきますが、とにかく冒頭のおそらく桜のシーンが素晴らしすぎる!
趣味で写真を撮ったりしますが、ああまさにこれが撮れたらとっても楽しいだろうなあという画。

冒頭での印象の強さとは打って変わって、探偵としての日常が始まる、そのメリハリも楽しいです。
いちおうの主人公は真っ直ぐな男ですが、話の主役は表紙の彼。この彼のできるっぷりも最高。
探偵は探偵でも失踪人専門というのが、彼のその才能をより際立って見せてくれています。
もちろん彼らを囲む他のキャラクターもみんな個々に光っていて素晴らしいです。

しかし今ってストーカーとか色々あるから、人探しも色々慎重になるんですね。
そういう色んな事情もわかって楽しいです。

割と多くの人が一度は探偵や刑事に憧れると思うのですが、実際になるというのはまた違うので、こうやってフィクションでそれを解消するというか。
この作品を見て自分が一番欲しいものが分かった気がします。

このコラムでは、どんな面白い作品もできる限り2巻以上出てから紹介するようにしているのですが、今回は1巻目からあまりにも面白すぎたので気にせず書いてしまいました。
そういうことなので、とにかくこれはもうすぐにでも読んでもらいたいのです!
気になる方はとにかく5Pまででいいので読んでみてください。そして面白かったら是非全部読んでください。


失踪ってする側とされる側で全然違うような、表裏一体のような、中々難しい現象ですね。

やまなか(仮)
貯蓄もないのに漫画をジャケ買いしては一喜一憂しているどうしようもない人間。
狭く浅く生きています。