絶対に面白いやつ『人形の国』

タイトルが気になり、表紙で惹かれ、最初のモノローグで夢中でした。
特にモノローグ。これはずるい!(ずるくはないですけど)こんなの絶対面白いやつじゃん!

弐瓶勉/講談社
『人形の国』

とある人口惑星。地底との戦争の敗北により住むところを奪われ、奇病が蔓延し機械が攻撃する中、主人公をはじめとする人々は極寒の地表でなんとか生き延びていた。
ある日帝国軍が追いかけている女の子(?)を助けたことで、主人公たちの暮らしは一変する。というお話。

ね?もう絶対面白いですよね?
とりあえず冒頭に出てくる「人形病」でこちらを思い出したのですが、それはまあさておき。

地底との戦争とは何だったのか?人形病の原因や症状は何なのか?彼らは一体どうしてこの星にいて、何故隠れるようにひっそりと暮らしているのか?
これらすべてが謎です。最低限は語られますけど、もう本当にサワリ程度。
この匂わせられてる感じも最高に楽しいし、ぶっちゃけこの謎が明かされなくても全然平気!こういう世界なんだと思えば気にならない!(まあわかった方がより楽しい気はしますけど)

話はどう展開していくかというのは、有り体に言えば突如力を授かった主人公が悪っぽい帝国軍と戦うぞ!というバトル系ではありますが、この展開の描かれ方が妙に淡々としていて、でもそれがこの世界の寒さ(極寒という設定)を妙に引き立たせていて素晴らしい。
書き込みが必要最低限な絵柄からも、冷えに冷えて凛とした空気が伝わってきます。
先日1巻が出たばかりで、その1巻は結構サクサク話が進むんです。そこもいい。最近はどうも希釈アンド希釈が跋扈している気がしますが、これだよこれ!という感じ。
1巻の最後のコマなんてもう最高です。ここに関しては読んでいただくしかない。

こういうのを3D映画なんかで見たら楽しいだろうなあ、と珍しく実写化すら前向きになれそうな作品。
騙されたと思って1話だけでも試し読みだけでも読んでみてください。1冊読み終わってることでしょう!


平和って当たり前じゃないんですよねきっと。

やまなか(仮)
貯蓄もないのに漫画をジャケ買いしては一喜一憂しているどうしようもない人間。
狭く浅く生きています。