『息をするかのように愛を注ぐ』

今回カコを演じるにあたって、意識にしたことはなんですか。

相手への愛情の注ぎ方です!
カコちゃんは、大切な種にお水を注ぐように誰に対しても意識せずに愛情を注ぐことができる女の子なんです。母性が強い女の子で、息をするかのように愛情をもって伝えるということを意識しました。

そんなカコの愛情表現はどういうものになりましたか?

沢山の方に楽しんでもらえるいい作品にしたい!と意識しすぎて固くなる場面も多かったのですが、亀梨(和也)さんが『もっと力を抜いていいんだよ』と言ってくださったり、(高杉)真宙くんが誕生日を迎えたときにみんなでお祝いしたり…。功太君役が亀梨さんだったからこそ、自分が頑張って愛情を表現しよう!と力まなくても、自然と表現できました。また、全力で演じること、足掻くことを許してくださる廣木監督がいて、完成したものだと思います。

お気に入りのシーンを教えてください。

カコちゃんが『本当の功太君はどこにいるの?』というシーンです。あのシーンは、最初の台本からは想像もつかない素敵なシーンになりました。
なんでも知っているはずの功太君が、初めて自分でもわからないことに直面するんです。そのときの亀梨さんの表情がとても素敵だなと思います。

『演じていくうえで学んだ』

恋人ではなく夫婦を演じてみて、どう感じましたか。

今まで朝ドラで何度か夫婦役を演じたことはあったのですが、今回は女子高生と警察官の結婚生活っていう中々ない設定で…そこから始まるラブストーリーはとても珍しいなと思いました。
女子高生とか年齢差などが関係してくるのかなと思っていたのですが、撮影をしていくうちに、“伝えようとすれば伝わる”ということに気づきました。

参考にした理想の夫婦像などはありますか?

特にどなたかを参考にしたというわけではなく、学んだという感じです。
カコちゃんだったら功太君にどういう対応をするのか考えて、何度も演技をして、亀梨さんとお芝居を作って演じていく中で学ぶことができました。

カコは大神ともすぐ打ち解けますが、新しく出会った人と自然と友達になれる方法はありますか?

カコちゃんはとっても自然に相手を誘ったりできる子で、素敵ですよね。
私自身はカコちゃんほどではないけど、仲良くしたいなと思ったら自分から『一緒にやろう!』と声をかけるタイプです。
考えすぎると躊躇してしまうので、仲良くしたいという純粋な気持ちを持って自分からお誘いします。

『プラマイゼロが女子高生らしい』

役作りはどのようなことをされましたか。

どこでカコちゃんを表現するか考えたとき、心をより彼女に近づけられたらなと思い、結婚生活はどういうものだろうと考えてウィークリーマンションを借りて家事を体験しました。
また、やはりどうしても原作とは見た目が違うので、少しでも制服を着こなせるよう、頑張って近づこうと、体を絞りました。基本的には走りました!ときには美味しいものも食べましたが、その分走りました。プラスマイナスゼロの精神…それが女子高生だ!と思って(笑)。

これまでウィークリーマンションを借りたことはあったのですか?

今回が初めてです!まず、ウィークリーマンションというものがあることを知って、短期間アパートを借りるんだとドキドキしました。
北海道の暖房設備が整ったとても暖かい部屋で、お部屋が暖かいってこんなに幸せなんだ!と思いました。功太君にとってカコちゃんはきっとこういう存在なのかなと気づくことができました。

原作に比べて二人の距離が縮まるまでがスピーディですね。

映画は最初の展開が早いので、役者として亀梨さんとの距離が少しでも縮まるように、まず初めに『功太君って呼んでもいいですか?』と聞きました。亀梨さんはすぐに『いいよ』と言ってくださって、そこから功太君の細かい設定などを教えていただいたりしました。

『お会いするまで信じられなかった』

亀梨和也さんへの印象を教えてください。

クールでかっこいい印象があると思いますが、自然体で温かくて、とってもお茶目な方です。現場でもとても温かくみんなを盛り上げてくださいました。
ご自身では『東京の亀梨和也と函館の亀梨和也は違うんだ』と仰っていました(笑)。取材でお会いする亀梨さんは、東京の亀梨和也さんのようです。
実は、小学生の時に見た『野ブタ。をプロデュース』という作品が自分の根っこの部分にあるんです。自分が学園ドラマに入るときもとても意識しました。
そこに出てらっしゃった亀梨さんですから、自分が共演できるなんて思ってもいなくて…!実際お会いするまで功太君を演じるのがあの亀梨さんだなんて信じられませんでした。最初の本読みで初めてお会いして、本当に感動しました。

廣木隆一監督の印象を教えてください。

廣木監督は過去に単発ドラマでご一緒しました。自分の感情がしっかり固まっていないとカメラを回さない方で、何回もやり直しをしました。
いつか絶対もう一度ご一緒したいと思っていたのですが、今回その機会が想像以上に早く訪れて、自分は廣木監督が求めるところまで追いついているだろうか?と少し不安もありました。
複数の作品を同時進行して役として呼吸をすることが大変になっていた時期もあったのですが、『作ろうとしなくていい、そのままの太鳳でいいんだよ』と言ってくださったので、止まりかけていた役の呼吸が少しずつ戻ってきた感じでした。

『一緒に足掻き、それを見守ってくれた』

函館は満喫されましたか?

撮影シーンが盛りだくさんで撮影中のお休みが1日くらいしかなかったのですが、タイミングを見つけて美味しいものを沢山いただきました!
ジンギスカンも美味しかったですし、お寿司も美味しかったです。あと、イカの踊り食いというものを初体験しました!最高でした。

理想のデートプランはなんですか?

鎌倉に行って、神社をお詣りしたり、海を見ながら美味しいものを食べて満喫して、京都に向かって、日本の夜や文化を楽しみたいな…と考えたんですが、家族旅行みたいになっちゃってますね(笑)。

改めて、今回の作品への想いを教えてください。

すれ違いの苦しいシーンも多かったですが、亀梨さんは功太君として一緒に足掻いでくださって、とても感謝しています。また、廣木監督がそんな私たちを見守り、役として・土屋太鳳として呼吸をすることを、時間をかけて待ってくださいました。またご一緒できるように頑張りたいです。
高校生だけど一人の女性のカコちゃんと、警察官だけど一人の男性の功太君の夫婦。学校でのみんなとの友情や親子関係など、一つ一つの人間関係の種を大切に描いた、とても温かい映画になったと思います。是非沢山の方にご覧いただきたいです。

土屋太鳳 プロフィール
1995年生まれ。東京都出身。2005年、スーパー・ヒロイン・オーディションMISS PHOENIXの審査員特別賞を受賞。
その後、ドラマや映画を中心に活躍の場を広げる。映画デビューは2008年の『トウキョウソナタ』(黒沢清監督)。以降も『鈴木先生』(13年/河合勇人監督)、『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』(14年/大友啓史監督)、『図書館戦争 THE LAST MISSION』(15年/佐藤信介監督)などに出演。
15年、NHK連続テレビ小説「花子とアン」出演に続き「まれ」でヒロイン役に抜擢される。また主演を務めた『orange -オレンジ-』(15年/橋本光二郎監督)、『青空エール』(16年/三木孝浩監督)が大ヒット。
今後は映画「兄に愛されすぎて困ってます」(17年/河合勇人監督)、映画「8年越しの花嫁」(17年/瀬々敬久監督)が公開予定。

(C) 2017 「PとJK」製作委員会
映画『PとJK』 http://ptojk.jp/
監督:廣木隆一 脚本:吉川菜美 
原作:三次マキ「PとJK」(講談社「別冊フレンド」連載)
出演:亀梨和也 土屋太鳳 高杉真宙 玉城ティナ 西畑大吾(関西ジャニーズJr.)/ 村上淳 ともさかりえ 大政絢 田口トモロヲ
配給:松竹

ヘアメイク/永瀬多壱(VANITES)
スタイリスト/MAIKO
撮影:大村祐里子