『山場を越えたら忘れられる』
映画『ホテルコパン』の役どころを教えてください。
今はさびれてしまったホテルの従業員で、やさぐれている女の子・ユリです。
ユリ以外の登場人物はそれぞれ人生の山場を迎えるのですが、彼女はクールに淡々とそれを見つめている立場です。
とはいえ彼女もバックボーンが全くないわけではないんです。匂わされる程度ですが、そこが役と向き合う上では大事なヒントになりました。
玄理さんご自身は、人生の山場のご経験ありますか?
山場かぁ…その真っ最中は大変でも越えると忘れちゃうものですが、韓国に演技の留学をしていた時は大変でした。
去年公開された映画『セッション』をイメージしていただくとわかりやすいかも!(笑)
でも山場というよりは、俳優という山の登りはじめだったのかなと思います。それでもすごく険しかったですけど(笑)。
とても厳しかったけど、その分とても楽しかったです。これから女優として一生やっていこうと思える場所でした。
映画へのご出演が多いですが、不思議な縁のようなものはありますか?
それまで全然関係なかったはずなのに、一つのその役をやることで、周りからの自分の見られ方が変わるといったことはあります。
それまでは全くそんなことなかったのに、巫女の役をやったあとは友達からの相談が増えたり、映画での設定と同じことが偶然私生活で出てきたり。不思議です。
『生きるエネルギーをもらえました』
クールや飄々とした役が多い印象がありますが、実際はどういう人物ですか?
私自身は、ずっと笑ってる感じの性格なんですけど…(笑)、暗い映画のシリアスな役が多いので、そういう風に見られがちですね。
でもコメディとかも大好きなので、これから色んな役をバランスよくやりたいなって思ってます。
ドラマ『恋の三陸 列車コンで行こう!』では明るい女の子の役なので、現場でもそのままずっと笑ってました。
ドラマ『恋の三陸 列車コンで行こう!』の現場エピソードを教えてください。
監督が現場の役者同士に生まれたものを大切にしてくださる方で、いい意味で、ドラマの現場への先入観が消える作品でした。リハーサルもあるし、一つ一つをとても丁寧に撮ってくださいました。
『あまちゃん』で“じぇじぇじぇ”って流行りましたよね?大船渡では”ばばば”って言うんですよ!キャストのみんながとても気に入って、台詞中にもふんだんに盛り込んでいます。
大船渡市の方々はとてもパワフルで、作品のヒントをもらうつもりでお会いして、最後は生きるエネルギーをもらった気がします。
写真を撮るのはお好きですか?
好きです!普段はヤシカというフィルムカメラか、iPhoneで撮っています。
『恋の三陸 列車コンで行こう!』の現場にハービー山口さんがいらっしゃって、ライカも素敵だなと気づきました。買っちゃおうかなと考え中です。
感光している写真が好きですね。撮るときはあまり色々考えずに撮って、後で写ったものを見るのが楽しいです。
■玄理 (ヒョンリ)プロフィール
1986年12月18日 東京生まれ。
日・英・韓のトライリンガルで国内外の作品に出演。2014年の主演映画『水の声を聞く』で第29回 高崎国際映画祭 最優秀新進女優賞を受賞。
映画『ホテルコパン』が2月13日公開、NHK特集ドラマ『恋の三陸 列車コンで行こう!』(2月27日より3話)が放送される。2016年には『リップヴァンウィンクルの花嫁』『後妻業の女』が控えている。
■映画『ホテルコパン』 http://hotelcopain.com/
1998 年、長野オリンピック。あれから18 年。ホテルコパンに集った理由ありの10 人。いま、それぞれの壮絶な人生の山場がぶつかり合う!
これまで短編映画で数々の賞を受賞してきた門馬直人監督による渾身の長編デビュー作。
主演・市原隼人、近藤芳正、清水美沙、玄理など、個性豊かな俳優たちが集まった。
2016年2月13日(土)シネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国順次公開
撮影:大村祐里子