『調整は監督に任せて』

現実と妄想が入り乱れる作品ですが、撮影中は混乱しませんでしたか?

現実とか妄想とかは意識せず演じました。妄想も現実も、調整は監督に任せようと。アキ自身もそれが現実か妄想かわかっていないので(笑)。
大まかに現在/回想/妄想1/妄想2/妄想3の5つの状態がありますが、明確にストーリーを説明するシーンがほぼないので、「?」のまま見終わる方も多いと思います。髪の色や髪型で判断するとわかりやすいかも。

主人公の心情でわかる部分はありますか。

アキの気持ちがわかるってことは、他人だと思って見てることから生まれると思うんですけど、そういう意味では答えは“わからない”ですね。
逆にアキを自分だと思って読んでいたので、そこに距離があるかどうかがわからないっていう(笑)。

印象に残っているシーンを教えてください。

高橋一生さん演じるカイトとアキの出会いのシーンです。アキが人に言えない夢を、会って間もないカイトに告げる。2人のキャラクターや関係性がわかって、ほっこりするシーンで、アキとしても自分自身としても安らぎました。精神的に過酷なシーンが多かったので…(笑)。

『覚悟よりやりたい気持ち』

体当たりな作品ですが、覚悟するまで時間はかかりましたか?

全くなかったです!台本をいただく前に、露出などがあることは説明があったし、台本を読んでみてもそういった不安はでてこなかったんです。それよりも、この役をやりたいという気持ちがずっと強かった。
よく『桜井ユキの覚悟』みたいに書いてもらいますけど、全然そんなことはないんです。私自身が脱いでる訳じゃないし、作品の流れにあるだけだし。
そもそもそこが先に引っかかる時点で、やるべきじゃないと思うんですよね。我慢したり頑張ってやることじゃないなって。

デビューが24歳と遅めだった理由を教えてください。

自分がしっかりしてなかったからです(笑)。20代前半までぐにゃぐにゃしていて、何もできないし、人間的に経験値も全然なかったんです。
自分という土台がしっかりとしてないのに、他人を演じるなんて無理でした。そこを自覚して向き合うのも嫌だし…。色んなことをハッキリしないまま過ごしてましたね。

これからの目標を教えてください。

型にはまらず、いつでもフラットでいたいです。自分で色付けしたくない。
数年後どうなっているかはわからないけど、今は自分が踏み込んだことのない感情や役をどんどんやりたいですね。

※次回は11月6日更新予定です。

■桜井ユキ
1987年2月10日生まれ、福岡県出身。主な出演作は、映画『リアル鬼ごっこ』(2015)『フローレンスは眠る』『過激派オペラ』(2016)、ドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(2016)など。体当たりで挑んだ今作で初主演を飾る。

■映画『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY リミット・オブ・スリーピング ビューティ』 http://sleepingbeauty-movie.com/
小さなサーカス団でマジシャンの助手をしているオリアアキ、29歳。女優を夢見て上京してから10年。30歳を目前に、生きる目標すら見失う。ステージの上で、催眠状態を演じているうちに、アキの精神状態は、現実と妄想の2つの世界で揺れ始める。そんなアキにとって唯一の美しい思い出は、恋人カイトとの時間だった…。
出演:桜井 ユキ / 古畑 新之、佐々木一平、新川 將人 / 成田 凌、山谷 初男、満島真之介 / 高橋 一生
原案・脚本・監督:二宮 健
配給:アーク・フィルムズ Ⓒ2017 KingRecords
2017年10月21日(土)新宿武蔵野館ほか全国順次公開

撮影:大村祐里子