​11月8日~13日、千本桜ホールにて、劇団スパイスガーデン第8回公演『ブルーカラーズ』が上演された。

(上演前インタビューはこちら

2年ぶりに行われた本公演では、脚本に田中眞一氏を迎え、客演として外部の俳優3名を加え、また初めて劇団員自らで演出という、結果的に彼らにとって一風変わった作品となったといえる。

舞台は、バブル崩壊後の東海地方の海沿いの街。
そこは海沿いだが海が汚く、魚がとれない。名物料理は何故かトルコライス。
トルコライスが象徴するかのような“混沌”を、栗原が演じる保険の調査員が解き明かす。


舞台はバブル崩壊後の東海地方という設定のため、随所にそれらしき当時のネタが散りばめられている。
写真の真ん中に写るのは、ジュゴン。人魚のモチーフとなった生物。三重県は鳥羽水族館でその姿を見ることができる。

劇団メンバーの結束力は言うまでもないが、彼らもそれぞれ独特の存在感を放っていた。

永岡卓也は怪しげなバーのマスター。役者だけではなく、観客も巻き込むトリッキーな役だった。


百瀬朔は、一見知的でクールだが、社員のことを誰よりも守ろうと熱く燃える労働組合幹部を演じた。
かと思えば途中可愛らしい(?)一面も。


事前のインタビュー通り、舞台初挑戦にも関わらず、堂々とした演技で何役もこなす幹仁。
本職を活かした歌のシーンでは、観客一同聞き入ってしまうほどの熱唱。

今回はミステリー要素も含むシリアス度高めなストーリーで、いつになく彼らが芝居上苦悩している姿が多かったようにも思える。
クライマックスでそれぞれが感情を爆発させるところは、見ている客席も息苦さを覚えるほど見事だった。

見事な脚本と巧みな客演を活かし、新しい魅力を自ら発掘してみせた劇団スパイスガーデン。
次の本公演が早くも楽しみである。

撮影:山上徳幸