真っ当な映画ファンの方は怒らないで読んでほしい『FOUJITA』

あらすじ:日本を代表する画家である、FOUJITAこと藤田嗣治の半生

☆☆(星2つ)

突然ですが、ボクは中谷美紀様の大ファンです。
キリスト教徒にとってのイエス、イスラム教徒にとってのアッラー、仏教徒にとっての仏陀、そしてボクにとっての中谷美紀様と言っても過言ではないくらいのファンです。
映画に中谷美紀様が出演されていると、その映画に対する判断基準が「劇中で中谷美紀様のお姿がどれくらいスクリーンに映るか」のみに絞られるので、作品の出来や内容、その他の出演者の演技などはほとんど考慮する余裕がなくなってしまう。
映画がどんなにおもしろくても中谷美紀様の出演シーンが少なければ星1つだし、逆にどれだけつまらなくても中谷美紀様が大活躍してさえいれば星が百個くらいついてしまう。
なので今回は特に偏った内容になってしまった。どうか怒らないでください。

1920年代のパリ美術界でピカソらと並んで高い評価を得た日本人画家FOUJITAと、帰国後の1940年代に大量の戦争画を描き、後に戦争協力者として批判を浴びた藤田嗣治という、一人の画家が送った二つの人生を描いたこの作品で中谷美紀様は藤田の最後の妻、君代を演じておられます。
なので前半1時間のパリ編は中谷美紀様の出番がありません。

なめてんのか。

おっとすいませんつい汚い言葉が…。
華やかなるパリの街で夜な夜なパーティーに繰り出し、パリジャンに愛されたFOUJITAの姿をオダギリジョー氏は(ほぼ全編フランス語で)独特の抑揚を持って熱演しているし、猥雑で濃密なパリの夜の空気が充満する画面にはもちろん引き込まれる。大丈夫、まだ慌てるような時間じゃない。

対する日本編では、田舎に移り、後に批判と放国のきっかけとなる戦争画の制作にいそしむ藤田嗣治を支える妻として中谷美紀様が灯りの少ない当時の日本の土着的な暗闇の中で艶やかに輝いている。その美しさは小栗康平監督の絵画的な映像と相まってどこか現世を超越したような妖しさがある。
1時間待った甲斐があった…ぐすん。

しかし映画の本当の主役はやはり、パリ編と日本編を通じて形を変えながらも画面を支配する静謐な「暗闇」。これこそが時代背景も文化も異なる二つの世界を繋いでいる。そして同じように我々観客にもそのはるか遠く離れた時代の空気を身近に感じさせてくれる。

とかなんとか言ったところで中谷美紀様の出番があまり多くないこの作品は下記の厳格なレーティングに従って星2つということになってしまう。申し訳ないとは思うんだけど、こればっかりは仕方がない。暗闇がどうとか本当は全然関係ないんだ。

☆…中谷美紀様が10分間出演
☆☆…中谷美紀様が30分間出演
☆☆☆…中谷美紀様が1時間出演
☆☆☆☆…中谷美紀様が全編通して出演
☆☆☆☆☆…中谷美紀様が全編通して出演し、さらに内容が特に優れている

S__15065098
暗闇といえば北海道のビターチョコを使った通称「悪魔ソフト」は本当においしいです。

おだかやすゆき
昼は会社員/夜も会社員/座右の銘は「狼は生きろ、豚も生きろ」
つらい仕事の合間に楽しい映画を観て感想を書きます。
好きな映画は「人間はガンガン死ぬけど動物と子どもは絶対に助かる」映画。
https://twitter.com/odkysyk