あらすじ:レオナルド・ディカプリオが生きて、生きて、生きまくる。
☆☆☆☆(星4つ)
今作で2年連続アカデミー監督賞受賞の快挙を成し遂げたアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥと5回目のノミネートでついに悲願のアカデミー主演男優賞を受賞したレオナルド・ディカプリオ、という賞レースでも話題をかっさらった作品だけど、中身はそんな華々しさとは無縁な、過酷で、辛くて、とにかく疲れる、重みのある映画だった。
毛皮ハンターの一団でガイドを務めていたグラス(レオナルド・ディカプリオ)は、ネイティブアメリカンの襲来から逃げる際中に熊に襲われて重傷を負う。
貪欲な罠猟師のフィッツジェラルド(トム・ハーディー)は瀕死のグラスを置き去りにして補償金を得ようと、グラスの息子のホーク(フォレスト・グッドラック)を目の前で殺害した挙句にグラスを生き埋めにして逃亡。しかしグラスは執念で生き延びる…。
ね?ちょっと聞くだけでうんざりするような話ですよね。でもこれがバツグンにおもしろいんだな。
極寒の地で骨折した足をひきずりながら鬼の形相で息子の敵を追いかけるグラスが次々に繰り出すサバイバルテクニックの数々…。
「オデッセイ」では火星にひとりぼっちのマット・デイモンが持ち前のポジティビティと科学の知識で生き延びてたけど、レオ様の場合はとにかく「いまにみておれ」の怨念と野生の知恵で生きまくる。
ディカプリオ兄さんは劇中の2/3くらいはよだれを垂らして地面を這いつくばってるし、見どころといえばものすごい勢いで襲いかかってくる熊、その熊とディカプリオの死闘をオロオロしながら見守る小熊(かわいい)とかそういうのしかないのでとても女性客やファミリー層に受けるとは思えないけど、これがエンターテインメントとしてギリギリ成立するおもしろさ。イニャリトゥはこういう極端なやり方で
「エンターテインメントとしての映画」の限界を拡張させようとしてるのかもしれない。
それにしても白人のネイティブ・アメリカンとの関係における悪行を全部フランス人の仕業として処理してしまうこの映画の図太さについては批判のひとつもありそうな気がするけど、そのへんのことはこのコラムでは関知しません。おもしろければなんだっていいんだ。やっほう。
☆☆☆☆…アカデミー賞の審査員がこの映画を観た時に「これだけやってるからさすがにもうレオに賞あげない…?」「そうだね…」という空気が目に浮かぶ。よかったね、レオ。
極寒の雪地獄から抜け出した人たちが食べてる煮込みみたいなシチューみたいなやつがすごくおいしそうだった。ので行きつけのお店で牛すじの塩煮込み。※行きつけとは「2回行ったことがある」状態を指します。
昼は会社員/夜も会社員/座右の銘は「狼は生きろ、豚も生きろ」
つらい仕事の合間に楽しい映画を観て感想を書きます。
好きな映画は「人間はガンガン死ぬけど動物と子どもは絶対に助かる」映画。
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