近頃おかしな超人ばっかり出てくるマーベルは本当に大丈夫なのか?(大丈夫でした)『デッドプール』

☆☆☆☆(星4つ)

マーベルコミックス史上初!自分が架空のキャラクターだと理解しちゃってるめんどうな超人、虚構と観客の間にある「第四の壁」を越える唯一無二のキャラクターが映画化する、と聞いた時から楽しみだった「デッドプール」がついに公開!
予告編の時点でペラペラしゃべりまくってるのを見て「もしかしてスベッてるんじゃ…」と心配になったけど、そんなことはなくてめちゃくちゃおもしろかった。

街の荒くれ者、ウェイド(ライアン・レイノルズ)は高級コールガールのヴァネッサ(モリーナ・バッカソン)と出会い、人並みの幸せをつかんだ途端、末期がんに侵されていることが発覚。
「がんを治療できる」という怪しい組織に藁にもすがる思いで赴くも案の定、邪悪な人体実験を受けた結果、醜い顔と不死身のボディの
超人と化してしまう。
絶望したウェイドはヴァネッサに名乗り出ることもできず、愛する彼女を影から見守りながら赤いスーツの”デッドプール”として復讐に乗り出す。

ということでデッドプールちゃん、実際はすごく悲惨な境遇だったんですね。こんなつらい現実に負けず、前向きに生きてる人に「下ネタをやめろ!」とか「むやみに人の首を刎ねるな!」とはなかなか言えない。観客に話しかけたり、カメラの位置を勝手に直しちゃう楽しい芸風も悲しみの裏返しだったのか。

こういうメタ的な映画が特大ヒットした今、安易に自分の映画にもその要素を取り入れる輩が現れると思うけど、やり方を間違えるとたぶんすごく鬱陶しくなるだろうと思うし、デッドプールちゃんの魅力的なキャラクターありきで成立しているのでくれぐれも取り扱い注意でお願いしたい。

そういう点でも悪趣味アクションとキュートなラブストーリーとメタコメディを見事に両立させたハリウッドの苦労人ライアン・レイノルズには拍手を送りたい。もう変な緑のコスチュームを着なくてもいいんだぞ!よかったな!

あとこの作品、本国ではこともあろうにバレンタインデー公開で、数多のロマンス映画と並んでこのめちゃくちゃに血なまぐさい映画が公開されてるのが痛快だったんだけど、日本ではさすがに同時公開はできなかった。
そのおわびに(ってわけじゃないと思うけど)1日のお得な映画デーに前倒しで公開した配給会社の誠意に感動しちゃう。吹き替えの気合の入れ方といい、志のある人がいたんだろうと胸が熱くなります。
大人のカップルのみなさんはその心意気に応えて劇場でこの極上に下劣な愛すべき映画を楽しみましょう。

☆☆☆☆…ドラマ「HOMELAND」ではいつのまにかフェードアウトしてしまったモリーナ・バッカソンを大画面でうれしい、というだけで☆2つくらいはあげたい。


映画を観た人は分かるかもしれないんですけど、なんとなくシュラスコが食べたくなるような気がしますよね。しませんか?すいません。

おだかやすゆき
昼は会社員/夜も会社員/座右の銘は「狼は生きろ、豚も生きろ」
つらい仕事の合間に楽しい映画を観て感想を書きます。
好きな映画は「人間はガンガン死ぬけど動物と子どもは絶対に助かる」映画。
https://twitter.com/odkysyk