漫画実写化映画の明るい未来 「アイアムアヒーロー」&「ちはやふる」

※今回はせっかく観たのにほったらかしになっていた映画から人気漫画の実写化という共通点があった2本をまとめてお送りします。旅行中だからストックを掘り出してきたとかそんなことはないです。違うよ、全然違うよ。

「アイアムアヒーロー」

☆☆☆(星3つ)

「平凡な日常がある日を境に崩壊する」というパニック作品の基本シナリオのうち、「平凡な日常」部分を
必要以上に丁寧に描くことで、崩壊の際のインパクトを際立たせる、というのが原作の漫画「アイアムアヒーロー」の魅力だったけど、映画でもその効果はバッチリ。
「もし現代の日本でゾンビ(とここでは呼びます)が発生したら」という状況を今のところ最も現実的に映像化したという点だけで大拍手ものだ。観たかったぞこういうの!

描写を過激にすればいいってものではもちろんないし、一本の映画としてのまとまりがない部分もあるけど、仮にも旬の女優さんが出るメジャーの映画でここまで振り切るにはなかなか大変だったんじゃないかと思う。これを皮切りに国産ゾンビ映画の盛り上がるかもしれないと思うと楽しみで夜も眠れません。

「ちはやふる 上の句・下の句」

☆☆☆☆(星4つ)

こちらは「アイアム~」と違って原作も未読なうえ、普段ならスルーしてしまいがちなところなんだけど、「上の句」を観た人たちが揃って「バトルかるた映画の決定版!」と盛り上がってるのでついつい観に行ってしまった。
わけのわからないバラエティ番組で大騒ぎしたり、場違いな出演者を放り込むより、なにより周りにいる人々の「おもしろかった」の一言がなによりの宣伝になる。もちろんボクも映画館を出る頃には劇中で繰り広げられる熾烈な殺人かるた、およびかるたマシーンと化した広瀬すずちゃんにノックアウトされた。みんなありがとう…。

そして勇んで観に行った「下の句」。前半はテンションをグッと抑えた地道な展開が続いて、ボクのような大人でさえ「かるた…かるたはまだか…」と禁断症状を伴う我慢の時間だったので、映画の主なターゲットであろう血気盛んな学生さんたちにとってはさぞかしと思うけど、この溜めに溜めた観客のバトルかるたへの飢餓感を一気に解放する後半のカタルシスたるや。
新たに加わった「かるたクイーン」松岡茉優の圧倒的な強キャラ感と相まって、その興奮は「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」の最後、レイとカイロ・レンの決戦の18倍くらいを計測していたと思う。
もちろん禁断症状に苛まれた前半だってキャラクターの魅力を際立たせるシーンが随所に散りばめられていて見ごたえはバッチリ。
登場人物みんなにいちいち見せ場があるんだ、これが…。

ジャパニーズエンターテインメントの底力をたっぷり堪能できること請け合いの2作品。「最近の日本映画はよぅ…」とくだをまいてる場合じゃないです。


男の子の夢(悪夢)がつまった映画を観た後には会社の食堂でトルコライスで決まり。トンカツ、ナポリタン、海老ピラフの組み合わせはまさに男子向けドリームタッグ。

おだかやすゆき
昼は会社員/夜も会社員/座右の銘は「狼は生きろ、豚も生きろ」
つらい仕事の合間に楽しい映画を観て感想を書きます。
好きな映画は「人間はガンガン死ぬけど動物と子どもは絶対に助かる」映画。
https://twitter.com/odkysyk