サンキュー、ホルツマン『ゴースト・バスターズ』

☆☆☆(星3つ)

「「ゴースト・バスターズ」の続編が出る!」という話を初めて聞いたのはもう7、8年くらい前のことだった。
当時はオリジナルキャストが再集結する純粋な続編になる予定だったはずが、もたもたしてる間にオリジナルキャストのハロルド・ライミスが亡くなってしまったり、脚本が「ビル・マーレイは冒頭で死亡、その後はゴーストとして出演」と完全に迷走したり(これはこれでおもしろそうだったけど)して、てっきり続編の企画は消滅したと思っていた。
それが去年になって突然「新作やるぞ!キャストは全員女性だ!」という監督ポール・フェイグの声明が発表され、あれよあれよという間に公開されてしまった。もたもたしてたくせに展開が早い。
初老になったゴースト・バスターズの面々がプロトンパックを背負うのにも苦労する姿も観たかったけど、この際フレッシュな気持ちで臨むのも悪くない。

コロンビア大学でまじめに物理学を教えていたエリン(クリステン・ウィグ)はその昔にトンデモ幽霊本を執筆していたことが発覚して大学を追い出される。
封印していたはずの黒歴史をこっそりamazonで販売していた共著者のアビー(メリッサ・マッカーシー)に誘われ、変人エンジニアのホルツマン(ケイト・マッキノン)、NYのことならなんでも知ってる地下鉄職員のパティ(レスリー・ジョーンズ)と共にやけくそで幽霊退治の仕事を始める。

…確かに!確かにストーリーにこれといって目新しいところはない。驚くようなこともない。でもそれはオリジナルも似たようなものなので、そのへんはまぁリスペクトということで大目に見ようじゃないか。

そんなことより今作で素晴らしいのは新キャスト、特になんといってもホルツマンだ。
なにをするか分かったもんじゃない、一挙手一投足から目が離せないホルツマン姉貴の「やる時はやる、やらない時はやらない」というあのフィーリングは形は違えど往年のビル・マーレイにひけをとらない魅力がある。ゴーストをバスターする姿も超かっこよかったし、これだけで白飯3杯はいける。ボクが保証します。

女性たちがゴースト相手に大活躍する横でとにかく何の役にも立たない無能な受付係を嬉々として演じていてクリス・ヘムズワースもよかった。あんなにガタイがいいのに本当になんの役にも立たないんだ。

それに比べて「女がゴーストバスターズなんてよぅ!」などとつまらないことを言う人たちは一生暗い部屋で膝を抱えながらオリジナル版を観て生きればいいとボクなんかは思う。頼むから2016年をちゃんと生きてほしい。

☆☆☆…「ホルツマンがいなかったら普通の映画だったな…」なんて思ったことないです。


「ゴーストバスターズ」ガチャガチャでマシュマロマンを当てようと必死になった直後のアイスティー(マシュマロマンは出ませんでした)。いくら使ったかの話はよすんだ。

おだかやすゆき
昼は会社員/夜も会社員/座右の銘は「狼は生きろ、豚も生きろ」
つらい仕事の合間に楽しい映画を観て感想を書きます。
好きな映画は「人間はガンガン死ぬけど動物と子どもは絶対に助かる」映画。
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