2016年度「なんだこれ」映画大賞受賞作『白い帽子の女』

☆(星1つ)

アンジェリーナ・ジョリー(・ピット)女史の監督最新作であり、ブラッド・ピットと10年ぶりの夫婦共演ということで巷で話題(になっているかはよく分からない)の今作。
どうやら一部では「オイオイオーイ!こういうのは自分の家でやってくれよー!」と叩かれてるみたいだけど、「ジョリーさん!今からでも遅くないから「Mr&Mrsスミス2」に変えたほうがいいっすよ!」と諫める忠臣がいなかったおかげで(せいで)ブランジェリーナ夫妻の世界観が爆発する内容になっております。いやはや。

1970年代。とあるフランスの田舎町にローランド(ブラッド・ピット)とバネッサ(アンジェリーナ・ジョリー)のアメリカ人夫婦がやってくる。
小説家であるローランドの新作執筆とバカンスを兼ねた誰もがうらやむ旅行の裏には、過去のある出来事がきっかけ鬱気味の妻、アル中気味の夫という暗い影が。
会話もなく、たまに話せばすぐ口論になる二人の間には一体なにがあったのか…。

前半はひたすらダルそうなバネッサとそれに手を焼くローランドの様子が延々続いて、事情が分からない(まぁなんとなくは分かる)観客としてはバネッサには「お前はなにが不満なんだよ…」とイライラするし、酒を飲んではゲロを吐いたり地元の人に悪態をつくローランドにはもはやコメントのしようもない。確かにこういうのは自宅でやってほしい。

しかしその二人の隣の部屋に新婚カップルが滞在し始めたところから話が意外な展開を見せる。
部屋の壁に開いた謎の穴を見つけたバネッサはその穴から新婚カップルの様子を覗き始めたのだ。
???
そしてバネッサだけでなくローランドも穴に気づき、いつしか2人は仲睦まじく覗き見ディナー、覗き見デートを繰り返し、いい雰囲気になってきたのだ。
なんなんだこれは。俺たちは一体なにを観せられているんだ。

と訝しんでるうちに覗き見パートはなんとなく終了してまた夫婦のいざこさが始まる。
なんなんだ。穴のくだりはいったいなんだったんだ。この脚本を見て周りのスタッフはなんて言ったんだ。助けてくれ。とにかくわからないことが多すぎる。

「Mr&Mrsミセス」みたいな軽快なエンタメ映画を撮ることもできた(そしてそれを期待されていた)ブランジェリーナ夫妻があえて「こういう映画撮りたい」を最優先してこしらえた珍作。
これを観た直後に夫妻の離婚が発表されたので、それを踏まえて観るとさらに味わい深いものになっているような気もしなくもない。しなくもないです。

☆…映画として面白いかといわれると確実に「NO」なんだけど、いつの日かこの映画を観たことを思い出す時が来るような気がしてる。


映画を観た後で振る舞われたブランジェリーナ夫妻所有のワイナリーで作られたワイン。こんな立派なものまでもらっておいて星一つで本当に申し訳ない。ワインは五つ星でした。ごちそうさまでした。

おだかやすゆき
昼は会社員/夜も会社員/座右の銘は「狼は生きろ、豚も生きろ」
つらい仕事の合間に楽しい映画を観て感想を書きます。
好きな映画は「人間はガンガン死ぬけど動物と子どもは絶対に助かる」映画。
https://twitter.com/odkysyk