☆(星1つ)
「40歳の童貞男」「スーパーバッド 童貞ウォーズ」などの童貞コメディ映画で知られる俳優のセス・ローガン。
監督としても北朝鮮をやり玉にあげてオバマ大統領まで動く一大騒動になった「ザ・インタビュー」など過激、悪趣味、不謹慎を貫く傍らで、実は沁みる良作にもこっそり出演していて、今回も過激なところはありつつもそういう映画的良心が垣間見えるのかなと思っていたけど、主人公のソーセージとヒロインのホットドッグバンズの姿かたちが完全に男女性器だった時点でバッチリ最悪の映画だと理解した。
分かってはいたけど、これはひどい。
フランク(セス・ローガン)はスーパーでパック売りされているソーセージ。スーパーの食材たちにとってお客様はまさに神であり、その神に選ばれ、ご家庭へ持ち帰られることは天国へ招かれることだと固く信じるフランクは恋人のバンズ(クリスティン・ウィグ)と共にその”約束の日”を待ち望んでいた。しかしある日返品されて食品棚に帰ってきたマスタードは狼狽し、すっかり精神を病んでいた。
外の世界で何があったのか。食材たちの天国は本当にあるのか。念願叶ってご購入されたフランクと仲間の食材たちの運命やいかに…。
「運命やいかに…」と書いたものの、実際は食材たちがご家庭で消費される様子が克明に描かれていて、それがわりとすさまじい。「アニメだから大丈夫だろ」と言わんばかりの残虐スプラッター描写のオンパレード。皮を剥かれ熱湯に放り込まれるじゃがいも、生きたまま噛み潰されるベビーキャロット、割れた裂け目から中身を必死でかき集める瀕死のヌードル缶詰…。悲惨すぎる食材たちの末路は正視に耐えない。
それでもこの映画が全米で1億ドルを超える大ヒットで受け入れられたのは、ドイヒーの嵐の中にも近年のヒットアニメ映画に不可欠な要素ともいえる多様性への気配りを欠かさなかったからかもしれない。
食材たちには国家や人種、宗教、性差…と様々なキャラクターづけが「食」というテーマと相まって誰にでもわかりやすく表現されているのはとびっきりのグッドアイデアだ。ローガンやるじゃない。
でも本当に痛快なのはそんな某ディズニーアニメ映画のように説教臭くなりがちなテーマをド下ネタと残虐描写、露骨な性描写で台無しにするところだ。さすがというかなんというか…とにかく「脚本は大麻を吸いながら書いた」と豪語するだけのことはある。終盤のどうしようもない展開を見ると「多様性が〜」だとかなんだとかそういう真面目なことを一瞬でも考えた自分がバカだったと後悔するしかない。
大麻をキメながら…じゃなくてホットドッグをほうばりながらご覧ください。
☆…当然星ひとつだけど大丈夫。めちゃくちゃおもしろいです。
観終わった後はもちろんソーセージパーティーを開催した。
昼は会社員/夜も会社員/座右の銘は「狼は生きろ、豚も生きろ」
つらい仕事の合間に楽しい映画を観て感想を書きます。
好きな映画は「人間はガンガン死ぬけど動物と子どもは絶対に助かる」映画。
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