夏のアメコミ映画まつり

今回は「スパイダーマン」と「ワンダーウーマン」というそれぞれマーベル、DCにすでに登場済の超大物新人が満を辞して単独デビューということで、揃ってご紹介です。
溜まった映画を消化するには二本立てに限る。

「スパイダーマン:ホームカミング」☆☆☆(星3つ)
先行して出演した「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」でついにマーベル映画宇宙への仲間入りを果たしたスパイディの正式なデビュー作。
「シビル・ウォー」では語られなかったスパイダーマン誕生秘話やアベンジャーズ加入へのいきさつが明らかになるかと思いきや、全然そんなことはなかった。説明ほぼなし。実に潔い。
過去の「スパイダーマン」に今ひとつハマれなかった自分としては「また蜘蛛に刺されるくだりとか観せられるのダルいなぁ…」と思っていたけど、そんな観客の思惑を見越していたかのような見事な省略っぷりで、「だいたいわかるだろ」という無言の圧力を感じる。この説明を省く姿勢がマーベル映画のクールさ(とあと新規ファンの戸惑い)の秘訣にちがいない。
秀逸なピーター・パーカーの日常パートがそれにくらべるとやや弱いスパイダーマンのパートをうまく補完しているのは見事。とはいえアクションはわりと平常運転だし、ヴィランもどこかで見たことあるような印象で、ボクの「スパイダーマン」アレルギーを克服するにはもう少し時間がかかりそうだ。

「ワンダーウーマン」☆☆☆(星3つ)
こちらも「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」からDCエクステンデッド・ユニバースに加わったワンダーウーマン姉さんの単独デビュー作。姉さんといえば控えめに言ってめちゃくちゃな内容だった「BvsS」で主役完全無視の大活躍をしていただけに期待値は高い。
しかし「スパイダーマン」とちがってこっちはワンダー姉さんの起源やいかにして現在に至ったかが克明に記録されていて、えー、すっごく長い。これは良くも悪くもいつものDC映画だ。この絶望的なテンポの悪さはとにかく軽快な「スパイダーマン」を観た後ではもはや個性に思える。
またスパイディがNYのダウンタウンな高校上がりの徹底した庶民目線だったのに大して、ワンダーウーマンの描き方は超人そのもの。「キメの画」も随所に出てくるのがまた仰々しい。
それでも軍を相手に暴れ回った後でにっこりほほ笑むキュートさは主演のガル・ガドットによる賜物と言える。こうして押しも押されぬ当たり役に恵まれてよかったと思うし、なによりあのテーマ曲が流れてワンダー姉さんがビシッと暴れればそれだけで成立しちゃう圧倒的存在感に拍手。


こういうお金のかかった大作映画を観ると実に夏って感じがしますね。…えっ、もう9月?8月終わり?マジ?

おだかやすゆき
昼は会社員/夜も会社員/座右の銘は「狼は生きろ、豚も生きろ」
つらい仕事の合間に楽しい映画を観て感想を書きます。
好きな映画は「人間はガンガン死ぬけど動物と子どもは絶対に助かる」映画。
https://twitter.com/odkysyk