俺の屍とあと神話を越えてゆけ『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』

【あらすじ】
失踪したジェダイマスター、ルーク・スカイウォーカーとついに対面したレイは、長年の隠遁生活で完全に偏屈ジジイと化したルークにうんざりしつつ、フォースの修行に悪戦苦闘。
一方、前作でド素人のレイにボコボコにやられたカイロ・レンは失墜した名誉を挽回しようとさらに暴れ回り、脱走兵のフィンは、えーと、怪我のためすっかり寝込んでいた。
三者三様の若者たちとはるか彼方の銀河系の運命やいかに…!

いやはや、前作「フォースの覚醒」のラストでようやく出てきたルークの空白の30年、レイとの関係、そして「最後のジェダイ」の意味…と様々な謎に答えつつ(もしくは放り投げつつ)、これまでの「スター・ウォーズ」とは大きく違う異色の仕上がりに、今もリアルタイムで戸惑っております。
まさかアレがアレだったとは…。どうなっちまうんだ、この先。

もちろんおなじみの部分もたくさんあって、その中には素晴らしいシーン、それも史上最高級の名シーンもいくつかあると思う。その反面、テンポの悪さはちょっと擁護できないレベルだし、敵も味方も相変わらずポンコツばっかりだ。
でもそういう映画的な欠陥みたいな「いつものスター・ウォーズ」っぽさは、この異色作の中ではむしろホッとする要素かもしれない。

今作には「誰も見たことがない衝撃の〜」という触れ込みがついていたけど、なにしろ「選ばれし親子の物語」「反乱軍が帝国を倒す」という「スター・ウォーズ神話」の定型をことごとく無視して作られているので、そういう意味では「マジかよ」という衝撃がたくさんある。
ただ、その衝撃を生み出すためにお話に相当な負荷がかかった結果、「おいおい、過去のアレはなんだったんだ」という疑問が生じているのは否めない。それも30年前の作品じゃなくて、わずか2年前の前作ともすでに齟齬が発生してる有様だ。
この統一感のなさで今後も「スター・ウォーズ」の関連作が乱発されるのかと思うと、やはり暗澹たる気持ちになってしまう。

監督ライアン・ジョンソンの「新しいスターウォーズを作ろう」という気概を祝福するのは前提として、創造主ジョージ・ルーカスのように全体のヴィジョンを統括する「神の不在」が今後どうでるか。
願わくば、神の手を離れたこの新たな物語が(ルークがダースベイダーを超えたように)古い神話を更新してくれますように。ホントお願いしますよ…!

おだかやすゆき
昼は会社員/夜も会社員/座右の銘は「狼は生きろ、豚も生きろ」
つらい仕事の合間に楽しい映画を観て感想を書きます。
好きな映画は「人間はガンガン死ぬけど動物と子どもは絶対に助かる」映画。
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