まだ少し寒いうちに『さよならガールフレンド』

​ジャケ買いって中々ピンとくるものがないというか、結局は絵柄や装丁の好みだったりして、中身までは好みが連動していないことが多くある。
むしろその辺りはジャケット(見た目)よりタイトルの方が的中率は高いような気はします。
今回はそんな「タイトルに惹かれてつい買っちゃった」こちらの作品。

高野 雀/祥伝社

『さよならガールフレンド』

まず、帯がすごい。
『心ひりつく“ガール ミーツ ガール”』
こんなこと書かれたらとりあえず買うしかないですよね。
(※画像は違いますがご容赦を…)

オムニバスで、6作品が収録されています。
こういうのって読むのに意外と勇気がいる時があります。
色々持ってかれたらどうしようとか、今そんなに精神的に元気ないぞ…みたいな。

でも、私が大人になってしまったからなのか、そこまでひりつく感じではなかったです。
むしろ「本来はひりつくはずの出来事」を淡々と書いている気がする。
軽く表面を撫でられたけど、気づくか気づかないかのうちに終わってましたみたいな。
この線にも関係しているような気はする。アニメっぽい線。書き込みが少ないというか、セル画っぽいというか。
あるいは、この作者がサッパリした人なのかもしれない。

表題作で最も色濃く出てくる「先輩との関係」みたいな、性別を超えた恋愛感情に近い慕情って、絶対経験あると思います。
同性が好きとかそうじゃないとかではなくて、同性でも異性でも、人としてその人が好きで、一緒にいて楽しくて、でも恋ではない、そういうの。
そしてこういう相手って一度離れるともう会わなかったりするんだよなー。それがいいしそこが醍醐味でもあるというか。
いつかこの先会わなくなったらもう二度と会わないだろう予感から来る凄く繊細な緊張感みたいなもの。

そういう何とも形容しづらい感覚を、正反対の過剰さで描いたのがこの作品じゃないでしょうか?
『ハッピーエンド』

ジョージ朝倉/講談社(旧装丁版)
ジョージ朝倉/講談社(新装版)

最近新装版で出たので、本屋さんで見かけた方も多いはず。
個人的には旧装丁のデザイン好きです。イカス。
読んだのが高校生というのも関係してるかも、と思って読み返したけど相変わらず胃がキリキリしました。
そしてこれは内容から逆算して理解した時、本当にいいタイトルです。

閑話休題。
「さよならガールフレンド」、この作品は絶対に寒い日に読むべき。まだ間に合います。
そしてできれば夜に読んでほしいです。
是非。


今年は桜も早かったですねー。

やまなか(仮)
貯蓄もないのに漫画をジャケ買いしては一喜一憂しているどうしようもない人間。
狭く浅く生きています。