迷っているうちに過ぎてしまう『最後のレストラン』

よくある質問。
『人生最後の食事は何を食べますか?』

この作品は、それがテーマ。

藤栄道彦/新潮社
『最後のレストラン』

ちょっと変わったシェフがいるレストラン『ヘヴンズ・ドア』に、時々現れる様々なお客さん。
どこからともなくいきなり現れ、人種も性別も年齢もすべてバラバラだけれど、自身が注文した内容に満足すると、いつの間にかいなくなっている。
そのお客さんこそ歴史上の様々な人物で、死の間際にこのレストランに現れ、人生最後の食事をしてまた元の世界に戻っていく、という作品。
その歴史上の人物というのも、古代ヨーロッパの偉人やら、昭和の日本の軍人やら、メジャーな人物もいれば、マニアックな人物もいる。

実際のストーリーの焦点は『人生最後に何食べる?』ではなくて、その偉人の人生であったり、そこに至るまでの経緯や史観であったりです。
そこに、いい塩梅で関係づけられた料理が出てくる。
この料理が絶妙に食べてみたい欲をそそります。作れそうで作るのは難しそうな。

先日書店で購入したとき、帯にドラマ化と書いてあったのでそのころに…と思っていたのですが、すでに最終回を終えてました。
無念!

ちなみに、5巻あたりから、スピンオフともまた違う、似て非なる番外編らしきものが同時収録されています。
ダメな男が好きな女性はこちらのほうが楽しめるかもしれません。
某所では酷評もあったりなかったりですが…

現在8巻まで出ていますが、どの巻から読んでも楽しめると思います。
是非。

同じ著者だと圧倒的に『コンシェルジュ』が最高の作品なんですが、この作品に対してはちょっと自分の愛や思い入れが強すぎるので、またいつか。


食べたいものや好きなものはいっぱいあるけど、やはり最後は素朴な食事になってしまいがちな気もしています。

やまなか(仮)
貯蓄もないのに漫画をジャケ買いしては一喜一憂しているどうしようもない人間。
狭く浅く生きています。