これは完全に虚構(だがそれがいい)『ブスに花束を。』

いやいや、少女マンガじゃないんだから…
っていうことが人生に何回あるかはわかりませんが、漫画を読みながら思うことも少なくない。

作楽ロク/角川書店
『ブスに花束を』

ブスなのにクラスの中心にいる爽やかイケメン男子と仲良くなっちゃっていやいや私なんてデュフフフ系漫画。
こんなのもう、これこそが、『少女マンガじゃないんだからさ~』の極致でしょう。最早逆手に取ってるのかむしろど真ん中なのかわからないですよ。

しかし意外と面白いのが、確かに読み進めると主人公は可愛く思えてくるし(容姿とかではなく存在的にですけど)、イケメンはまあ普通にめっちゃいいやつだし(ただしこんな奴現実には絶対いねぇ!)、その彼と本来は対になるであろう美少女もよくある感じの『実は腹黒でした~』みたいな感じを上手に交わしてて続きが気になります。

それにしても内容よりなにより、作品中に飛び交うネットスラングがすごい。
喪女とかぼっちとか察しとか、そんなのはまだいい方で、ネットスラングというよりニュアンスというかオタクのオタク語感がまんべんなくちりばめられていて、むしろそれに気づく自分がつらくなってきます。
わかる…
自分突っ込みめっちゃする…
自意識を妙なベクトルで拗らせて自己嫌悪に陥るのなんて日常っていうか毎秒レベル…
なんかもう色々つらくなるけど、一番つらいのは、現実はこんなイケメンがそんな私を見たところで(ふふ…この子面白いなァ。)なーんて思わないってことなんですよ!単純に気味悪がられたり普通にひかれたりしてうわあああああってなるだけなんですよそうじゃないのはだってこれは漫画ですからね。
あと地味に漫画だから笑っちゃう感じになってますけど、実際この新橋みたいな人がいたら結構辛いよ。漫画だからほのぼのしてるけど。

とかなんとか、普通に『面白かった~!次も楽しみ!』でいいのに、なんかもう主人公に勝手にシンクロしちゃってのたうち回ってしまった私、一番この作品を楽しんでいるといっても過言ではありません。
オタクな自覚がある貴女も、そうでないモテ系女子な貴女も、イケてる男子も、イケようとしている男子も、先日1巻が出たばかりなのでとにかく読んでみては。
これは十二分にリトマス紙になりうる作品ですぞ。


もらったところでどうしようもないのに『プレゼントは花束がほしいな☆』っていってた黒歴史の話でもします?…ウッ。

やまなか(仮)
貯蓄もないのに漫画をジャケ買いしては一喜一憂しているどうしようもない人間。
狭く浅く生きています。