押忍、女番長『弁天ぼたん』

スケバンって、知ってますか?
私はまあ普通にどういうものかくらいは知ってますけど、もしかしたら今の子は知らないんじゃないか。

20年ほど前は、スカートは短ければ短いほどよく(※この『よい』はイケてるという意)、靴下は信じられないくらい長いものをズルズルにして履いていたんですね。洗うと天気が良くても乾かすのに2日かかったりしてたんですよ。所謂コギャルという存在ですね。
そして更にその前は、スカートは長ければ長いほどよく(※同上)、靴下は履かず生足でローファーを履くのがセクシーだった。スケバンはその最上としての象徴。
冴えない地味な生徒からしたらどちらもヤンキー、つまり優等生とは反対の存在なんですが、彼女たちの恰好&精神的なベクトルは真逆。

再田ニカ/小学館
『弁天ぼたん』
女子高生はいっしょくたにJKと呼ばれ、コギャルもヤンキーもいない21世紀の世の中で、スケバンに憧れる女の子がいたら…?
そんなお話。

それはさておき、これは何て言ったらいいのか…
男性が好きなヤンキーものが、女の子が主人公でかつ設定が現在っぽいので、案外ほっこりする感じになっています。
伝説のスケバンがどうも主人公の○○っぽい?とか、その伝説を知る校長もまたいかついし、さらにその上男の娘というかジェンダーが複雑な子も出てきたりする。
こう書くと全部乗せみたいで大丈夫?と思われるかもしれませんが、どっこい上手にまとまっていて、ストーリー展開ももたつかずサクサク進むので、あっという間に読了。
ややこしいことは何もないし、ヒネくれすぎた設定もないし(男の娘的存在にはびっくりしたけど)、何より『(今のところ)出てくる人物がみんないい人』。素敵。
どうやら先々そうでもない展開があるかもしれないことを匂わされて1巻は終わりますが、この人も極悪人ではなさそうです(というか、そうあってほしいぜ)。

最近は『実は腹黒でした』の黒さレベルが底知れないので、いつもニコニコしてる学年一の美少女みたいなのが出てくるともう『あっこいつヤバイ』って身構えちゃうんですよね…
暴力はよろしくないけれど、ひたすら陰湿な女っぽいイジメを描くよりは、『ぶつかっておりゃ~→昨日の敵は今日の友!』みたいなのを見ている方がさっぱりしたカタルシスは得られるんだなあと気づきました。
主人公が純粋に描かれているのが大きいとは思いますけど、こういう竹を割ったみたいな女の子はかっこいい。
確かにこういう人こそが女の番長、スケバンなんですね。

ここ数週、登場人物が学生の(しかも全員高校生)お話ばっかり取り上げているわけですが、自分の精神状況が少し心配です。
ただその中では、この作品が一番、絵柄も設定もストーリーも、男性・女性の抵抗なく読める作品だと思います。
こちらで試し読みもできる様子。
是非ご覧あれ。


東京はみんな電車で私立に通っているんだと思っていたけど、当然そんなことはなかった。

やまなか(仮)
貯蓄もないのに漫画をジャケ買いしては一喜一憂しているどうしようもない人間。
狭く浅く生きています。